蓮心 表千家茶道教室 池坊いけばな華道教室

西武新宿線沿い西東京市田無駅より徒歩11分の表千家茶道・池坊華道教室

徒然に平成を振り返りブログ

2019年4月22日 Category: blog

久しぶりにブログを書きます。昨年(平成30年) 4月30日の蓮心会茶会報告以来であります。FBやInstagramに投稿はしているのですが、少しずつ振り返ってみましょう。

五月、池坊東京華展、師匠である正子先生の素晴らしい作品は今でも脳裏に焼きついています。

平成30年 石渡正子先生の作品

六月、茶道勉強会として「茶会記勉強会(水曜)」、自分で会記を書いてみることで 茶会へ参加する楽しみが増えたそうです。タイミング良く靖国神社茶会もあり。

会記について解説の後、茶会を設定し 大奉書に筆で書いてみます。

京都池坊学園にて「池坊歴史講座」、清祥会華道研究会「生花(杜若)」。

江戸時代の絵図などから池坊の成立ち、専好様の活躍など紐解きます。
鶴の花器に杜若を生けました。

七月、池坊巡回講座、朝茶事。昨年の猛暑は思い出すだけで冷や汗が出るほどでしたね。朝顔がその二日間だけ、奇跡的に咲いてくれました。

手入れした庭も朝露にしっとり。
蝉の竹籠に、大輪の朝顔。
どんどん開いていきました。
二日目。もう、いじらしいったらない!

八月、「茶会記勉強会(日曜)」、朝茶事。

九月、靖国神社茶会、茶道「茶花ワークショップ」。

茶花についてレクチャー後、それぞれ好きな花入を選び生けてみます。
床の間に飾るとさらに花は生き生き!
これは数年前の「茶花ワークショップ」。希望あれば、いつでお開催しますよ。

十月、天然忌、お知らせに書いてある通り「供茶」「且座」「花寄せ」など。

天然忌とは、表千家七代 如心斎の徳を偲ぶ忌日です。

十一月、表千家家元襲名記念茶会、「猶有斎宗匠」が家元となり、大徳寺で素晴らしい茶会が開かれました。本当に素晴らしすぎて、当日発熱しました(笑)、

一人だったので、全席堪能できました。
大徳寺の三門、金毛閣。この上に利休様の木像が祀ってあります。

京都本部で開催される「旧七夕会池坊全国華道展」、この華展が、今年(平成31年) 3月大阪〜5月東京(日本橋三越)〜6月札幌〜9月名古屋〜10月福岡 と巡ります。

京都 七夕華展 池坊宗匠さまの作品。
次期家元、池坊専好さまの作品。なんと、
三面から違う作品として鑑賞できます!
池坊 専宗さまの作品。

京都池坊学園にて池坊歴史講座。年間二日間づつ二回、高度な講義でした。

十二月、清祥会華道研究会「生花(正風体)」。

木瓜の一種生け。

一年間の締めくくり、茶道納会。

納会では、七事の「廻り炭」をして「火相」を学びます。
その後私も相伴して「納会」。
献立の定番は「埋み豆腐」「柚子の砂糖和え」「鰯の甘露煮」「漬物」
そして手作り「胡麻豆腐」。
まあ、全て手作りなのです。
師は走る「師走」。

そして本年一月、清祥会新年会、蓮心会初釜。

「平成最後の初釜」という事で、今年の初釜は「ゆずり葉」をテーマに開きました。

これがゆずり葉。この葉をイメージしたお菓子を特注しました。
この名の由来は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を 親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りに使われるそうです。
小間濃茶席、「万作」と紅白の椿。
初釜にはこの掛物と「結び柳」が定番。
広間は及台子で華やかに。
初釜は一汁三菜、これは八寸。
蒸し鮑と花百合根。
制服姿の男子は今年 庭師になるべく就職を決意。
代々、この伝えが受け継がれますように。

二月、初釜、清祥会華道研究会。

「立花(新風体)」。

尚月会春の能会。今年も蓮心会から3名謡に特別参加!添え釜も四年目となり、皆に余裕を感じました。やはり、継続が肝心なり。

継続の成果?「土蜘」を連吟。

先月三月、靖国神社茶会、上野東京都美術館での池坊連合華展、

美術館での華展は池坊のみ。
私の作品「入船」。
「漁が終わり帰港する船」の表現です。
生徒の作品、生花三種生け。
「糸芭蕉・雪柳・パンジー」
華展初出瓶、生徒の作品「小品自由花」。
生徒の作品、つつじ 一種生け。

と、利休忌。

「茶カブキ」お茶を当てる「闘茶」が起源の式法。日曜は4名正解。
水曜は正解者なし。
利休さまの徳を忍んで、私も一献。
利休忌の定番「筍ご飯」「朧澄まし汁」「蕨」、
そして「揚げ昆布」「獅子唐」「漬物」の一汁一菜。

そして今月四月。私はこの他 時間があれば主人の仕事も手伝っていますから、なんでしょうかね・・この慌ただししさ。しかしもう何年も変わらないですし、変わらないどころか、年々予定は増えていくようです。

「慌ただしい」は「心」と「荒い」、「忙しい」とは「心」を「亡くす」と書きます。なのでその言葉はなるべく使わないようにしていますが、、重々気をつけなければいけませんね。はい。元気な限りこの素晴らしい日本の伝統文化の世界を伝えていくお手伝いができたら幸せです。

今、このブログを書きながら、(そうか私、徒然に “平成” を振り返っていたのだ)と気がつく。なので このタイトルに。すっかり長文になってしまいました。ブログ更新のレイアウト方法も変わってしまったのでまだ慣れていず、締まりのない感じで残念。

ブログへの投稿は相変わらず 滅多にできないかもしれませんが、令和も是非FBやInstagramをご覧くださいませ。

さて、来月も上記記載の通り令和元年5月22日〜27日、日本橋三越7階にて「池坊東京華展」が開催されます。是非いらしてください。初心者の方で希望があれば、華展の同行も可能な日時があります。ご相談ください。

日々の稽古や、生徒の作品、ワークショップの様子などをF.B.に(たまに)アップしています。
https://www.facebook.com/茶道教室-華道教室-438381252917488/
Instagram も始めました。
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お楽しみください。

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蓮心会 高森 梨津子

「松露庵・蓮心会茶会 (H30 4月)」報告

2018年10月28日 Category: blog
今年の メイン・イベントでした、「蓮心会茶会」。
初夏の緑が美しく 爽やかな薫風が心地よい 4月30日、昭和の日の振替休日 月曜日。
会場は、武蔵境から徒歩15分、公団の中の公園の一角に ひっそりと佇む「松露庵」。
旧古瀬邸を改装した本格的な茶室です。
玄関に「在釜」→  張り切って書きました→

「松露」とは、「松の葉におく露」の意。松葉のような細い葉でも命が宿って露が生じ、その露はうたかたに消えてしまう。これは茶の道の「一期一会」にも通ずる、との想いから茶室の玄関口に松が植えてあるそうです。
あら、我が家の玄関口にも立派な松が。大家さん、きっと同じ気持ちで植えられたのね。

さて、茶道を学ぶなかで、「茶事」を一番大切と以前も記していますが、それはお招きした少数のお客様と濃茶を軸に過ごす親密で正式なおもてなしの会。
そして 時代の要請などにより もう少し気楽に大勢が楽しめるようにと広まったのが「茶会」 。
太閤秀吉が北野天満宮で「大茶会」を開いたことがその始まり、とも云われています。
私の社中の力で どこかの茶室を借りて「茶会」を開くことは、私が教室を持った頃からの夢(目標)の一つ。その為に 能の会の「添え釜」など、社中が茶道でのおもてなしに慣れるよう 少しずつ機会を重ねてきました。
そして我が家で「茶会とミニ華展」を開いたのが平成28年10月、茶会初挑戦。
この企画が決まってからの我が社中、他での茶会に客として参加する姿が今までとは全く違う気迫に。そう、見るとするとは大違い!こうゆうことで、本気でものが見れるようになるのかもしれませんね。良いことです。

「蓮心会・松露庵茶会」は、ゴールデンウィークの始まりでしたので集客に不安もありましたが、直ぐに予約で満員御礼。当日は天候に恵まれ、早い時間から水撒き。すぐ乾いてしまうので絶えず交代で。これもおもてなしの心が深くなければ出来る事ではありません。

茶室へは、「露地」の「寄付き」で待ってから「小間」へと席入りする体験をしてもらいます。

小間で、初回は白雪草。
     その後、山法師と河原撫子
竹の一重切り花入は 尋牛斎宗匠花押 銘「佳日」。

広間は端午の節供に因んで 花菖蒲とリョウブ。

「杜鵑一声」は同じく 尋牛斎宗匠筆。山にホトトギスが鳴き、初夏を知らせています。
お客様から『小間で見た山ボウシから導かれ、まるで山の奥に来ている様だ』との嬉しいお声。
「お茶席初めて」の方が中心でしたので、お茶やお菓子の頂き方から茶席での楽しみ方を伝えます。
  

お菓子は「亀屋万年堂」特製「花菖蒲」。お薄席なので「煙草盆」とその説明も。
10時〜、11時〜、12時〜(八畳の席)に約18名づつ54名、13時〜のワークショップに19名 計73名のお客様。そして私たち社中12名と、協力スタッフも交代で客入りしたので総計なんと、90名!
ワークショップでは、茶会の後に高田桃子さんに「和食の起源」にまで遡っての
お話をして頂きました。


茶室「松露庵」での「一期一会」のお茶会。
「茶道」は敷居がたかそう・・「お茶会」は なんだかコワい・・と思っている方が多く、実際この会が茶会デビューと云う方がほとんどでした。しかし皆さんから、『想像以上に楽しかった!
美味しかったし、日本の文化って素晴らしいと思った。感動しっぱなし!』と、多くの声。
そして何より私たちが感動したのは、席入りの時は緊張と不安だった皆さんのお顔が、
帰りには部屋の空気が暖かくなるほどの満悦の笑顔になってくださったこと。
社中一同、そのお客様の笑顔と『ありがとうございました!』のお言葉に ウルウル..

「一服のお茶を通して亭主と客のこころが通いあえる。今の時代だからこそ、人と人との心の交わりを大切にするこの茶の湯の素晴らしさを伝えたい」
その想いで社中一同が一丸となった一日。

『いつか 茶会を開きたい』と夢をもってから30数年。夢って・・叶うんですね?
そう、「目標」としてブレずに継続し続ければ。

大切なのは、「これから」。
さあ、次の茶会は いつ開けるのかなぁ.. 今、社中は色々な茶会に行って楽しむことに夢中な様子。
今月は「東京大茶会」も開催中ですしね。パワー蓄積中?^^
楽しみに待っていてくださいね~~


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蓮心会 高森 梨津子

H30 3月 IAC茶会報告

2018年9月20日 Category: blog
2年前程前から NPO法人 国際芸術家センター(International artists center)、「IAC」の依頼で
『大使(大使夫人)と共に学ぶ茶事・茶懐石』という企画の茶道講師をしています。
この団体は、国内外の芸術分野のみならず、食や伝統工芸、祭りなどの文化交流事業を通じて国際相互理解を目指す目的で、1960年から活動しているそうです。
私も大使館でのパーティへ数回参加させて頂きましたが、大使館で各国の歴史文化や生活習慣などの話を聞きながら、手づくりのクッキーや紅茶、時には家庭料理などを堪能し、日本に居ながらにして民族衣装や楽器なども楽しんでいて、各国との相互理解・友好促進の場になっています。
日本に大使館を置く国は現在153カ国。あまり馴染みのない国もあり、そのお国事情を学ぶ機会は貴重です。
こうした文化交流活動でお世話になった大使方へ、日本のおもてなしでお礼を。という思いから茶会の企画を立ち上げたそうです。
初回は 2016 10月「グァテマラ大使と共に学ぶ茶事と懐石@駒場旧前田邸迎賓館」。
同年11月、このブログで報告しました。
日本文化の代表といえる「茶道」について、その歴史と現代まで続く茶の湯の心、そして抹茶の頂き方 その作法の意味、などを説明。私の社中(生徒)が点前をし、大使とお集まりになった日本の皆さんと共に 茶道のおもてなしを学ぶことを楽しみました。
   
もともと外国に興味を持つ日本人が多い団体、参加された日本の皆さんも興味シンシン!
その時のIACレポート。 ↓↓
http://iactokyo.jp/2016/10/11/「グァテマラ大使と共に学ぶ茶事と懐石@駒場旧/

お陰様で大好評。半年後の2回目も、企画公開後 瞬時に満員御礼。
2017年 3月 「リトアニア大使と共に茶事と懐石@駒場前田邸迎賓館」
そのレポートは、こちら ↓↓
http://iactokyo.jp/2017/04/25/teacelemony_komaba_0320/

皆さんの日本文化への関心の高さに嬉しくなりました。
リピーターの方もいらしてくださり、季節も変わるので切り口を変えて講義も楽しみます。
伝えたいことは山とあるので、こちらも何度でも楽しんで企画を組むことができます。

そして、3回目の今年。2018 3月「トーゴ大使夫人と共に学ぶ茶道と懐石@駒場前田邸迎賓館」
勿論、毎回英語通訳の方がいらしてくださいます。この国の母国はフランス語でしたが。
  
皆さん 驚かれるのは、煙草盆。 
今と違い、昔 煙草は セレブが楽しむ嗜好品。その精密な伝統技術も目を楽しませてくれます。
今回「会記」の説明を詳しくしたところ、大使夫人がとても興味を持ってくださり、
『是非 持って帰り、額に表装して応接間に飾りたい。』と。
 あぁ・・ 嬉しいやら、恥ずかしいやら。

この旧前田家迎賓館は駒場公園内にあり、重要文化財にも指定されている素晴らしい建物。
  二階 →  
建てられたのは昭和8年、当時外交官となっていた前田家当主が外国のお客様を招くために当時の粋を集めて建てられた和邸。庭には緑を背景に池があり前田家独特の雪見灯籠も点在、縁側に座っているとゆったりとした時間が流れて、ここが東京ということを思わず忘れてしまう空間です。
板戸の絵が とても素敵。燕子花(杜若)とツバメ。
 
   

本格的な書院造りで、床・違い棚・付け書院を備えた格式の高い茶室です。
そんな空間でお茶会を催し、伝統文化を伝えられることに 感謝で一杯。幸せな一日です。

実は、今年の9月にも依頼されたのですが 流石に身動きが取れず。英語の堪能なIACスタッフが活躍されたはず。ご興味のある方は、検索してみてくださいね。


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蓮心会 高森 梨津子

平成30年 東京連合華展 at 上野東京都美術館

2018年9月8日 Category: blog
去年まで1月に上野公園内の東京都美術館にて開催されていた東京連合華展、今年から本来の3月に戻りました。今年で85回、ということは 1933年 昭和8年から続いているのでしょうか、
凄いことです。凄いと言えば、「華展」を美術館で開けるのは池坊だけ とか。
割と早くから毎年出瓶させて頂いているので、私にとって約30回目位なのでしょうか?
だとすると ほぼ三分の一参加させていただけていることに? ちょっと感動!

どんなに前だとしても、初めての出瓶した日の緊張感は今でも良く覚えています。
ほんの数年前まで、この華展の生け込み時間の短さは(1時間も無い) 伝説的でしたから。

約二週間の間、ほぼ2日間単位で1200瓶もの作品が発表されます。
幸運なことに、今年は次期家元 池坊専好(由紀)さまのご巡視の日にあたりました。
社中も一般席に3名、出瓶しました。

私は、特別席という階で「生花(しょうか)」の「二重生け」。
(特別席では、展覧に企画があり 花形が指定されます。)
二重生けとは、竹の花器に二つ生ける口があり、「懸崖に生まれ育つ植物の生きざま」を表現します。下の重には「立ち上る姿」、上の重には「立ち下がりまた太陽を求めて立ち上る気」を。
自然界で見ることがありますよね、崖から懸命に伸びていく逞しい植物の姿を。
どの植物も、種が落ち芽がでた場所がどのような場所であれ、その場所で生きていくしか道はありません。人間のように気楽にお引越しはできませんので。
ここ、華道を学んでいて 見習わなくてはならないな・・と 思う一つです、はい。

さて、その作品 → → 下の重に木瓜、上に白椿。

由紀様のご巡視 →  
有難いことに 家元にも次期家元にも何度もご巡視でお言葉を戴く幸運に恵まれている私ですが、いつも深い視点で作品を観てくださることがわかるお言葉に、それまでの苦労が一変で無くなるのが不思議です。

生徒の作品も紹介します。「立花 正風体」 →  逆勝手です。
「生花・三種生け」 → 静けさが漂います。
日程を違えて「生花・新風体」 →  主役は彼の大好きなフリージア。
皆さん、素敵な作品でしょう? 本当に良く頑張りました。

先程 “苦労”と書いたことを不思議に思う方もいられるかもしれませんね。
「好きなことをしているのに、趣味なのに、なぜ 苦労?」 と。

何かを一心に学ぶ者が、それを深く続けていくなかで 行きあたる 一つの「関所」のようなものなのでしょうか・・?

初めは「趣味」として始めた習いごと。華道・茶道に限らず どのジャンルであれ私は当てはまると思うのですが「趣味の域を超える」と感じた経験をされた方も多いのでは?
そこで、続けるかどうか や 続けかた を 思案します。

『何故、趣味なのにこんなにツライ思いをしなきゃならん?こんな筈じゃなかった・・』等
そんな自分との葛藤を経験し、「気楽な筈だった趣味」を「生きがい」「生涯の学び」へと切り替えた方は、「苦労の先に得ることのできる喜び」を知る。知ってから切り替えた方もいるでしょう。
だからちょっとくらい辛くても、これは「生みの苦しみ」と くじけずに前を向ける。
勿論、「趣味」として気楽に楽しく稽古続けることも全く間違えでは無いです。
人それぞれ。
何が自分にとっての“生きがい”か なんて、誰にもわからない。

一人の社中が云いました。『この道は、私にとって趣味ではなく “資格”。責任を持って学んで生きたい』と。
私にとって、忘れられない 素敵な言葉です。

私自身長く続けてきたなかで悩んだこともありました。その私がこれだけは言えます。
『継続は力』。
その“力”は、想像以上に強く逞しい、そして 優しい“友”です。
私はその友に 幾たびも救ってもらっているので それだけは、確かです。

実は、今年の私の出瓶作品にはとんでもない裏ドラマがありました。
出瓶が決まってから約半年間、毎週のようにこの花形を学んできました。様々な花材で。
生花・立花にはその置き方により「本勝手」と「逆勝手」があるのですが、
今回何故か自分は「逆勝手」と思い込み練習を積んでいました。生け込み当日まで。
しかし!なんと、生け込み会場に行き 生けはじめるとお隣の方が
『良いわね〜貴女、本勝手で、、』と云うではないか、『へっ??』
周りを見回す。確かに、私の場所は本勝手の席だ! 『な、なんてこと・・』

「本勝手」と「逆勝手」とは、太陽の位置が真逆の設定となるので、枝ぶりが全て「逆」となる。
もう、生け込みの時間は限られている。花材も最低限しか、無い。
『絶体絶命』とは このことか?と 云うほどの危機なんです。
周りの方々も凍っている様子。
しかし、愚痴ったって悩んだってどうしようもない。『やるしか、無い』のです。

師匠から良く聞いていました。『私の師匠は、出来上がる直前に “それ、真の向きが逆やで” と云う』と。これは正に今の私の状況と同じ。全ての生け直しを意味します。
師匠はこんな状況をくぐり抜けてきたのか・・と 気持ちを瞬時に切り替えた私。

『今できるベストを尽くす。』これしか無いのです。
それもこれも「継続の力」のお陰なのです。
結果、限られた方しかその裏ドラマを知らぬまま無事、大好評のうちに終えることができました。
長くなりましたが、「生みの苦しみ」を“快感”に切り替えられる術を長年のうちに学んだのでしょうか?
先日、バレー(踊り)と吹奏楽を学ぶ弟子と話していたら『わかりますゥ〜、練習中は なんで出演するなんて言ってしまったのかって後悔してるんですけどぉ〜、終わってみるとまた挑戦したいって思うのですよねェ〜』と。
それができるってことが、その習い事と相性が良いってことなんだと思いますよ〜〜

さて、来年の連合華展の日程と私の花形が先程決定しました。
会期は来年 3月21~30日。私の出瓶は21日(祝日・木)、22日、生花「船・釣り・逆勝手」。
社中も3名。その内初参加の男性も。楽しみにしていてください。


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蓮心会 高森 梨津子

平成30年度 新年能会の報告

2018年9月8日 Category: blog
 ワタクシごとながら、長年の夢だった「能」の「謡(うたい)」を習い始めて ハヤ4年。
「謡」ってなに?と 良く聞かれます。「能」が趣味の方以外、「詩吟」「御詠歌」「長唄」「小唄」などの違いは 分かりづらいですよね? 大丈夫、私もそうでした(笑)

能の音楽は、謡(うたい)と囃子(はやし)で成り立っています。主人公「シテ」、相手役「ワキ」(複数人)、そしてその出来事やその風景描写、心情を朗誦する「地謡」(ジウタイ)で構成されています。
「能」の歴史は平安・鎌倉時代と古いが、室町中後期頃から一般の人々が「謡」を習うようになったそうです。
こんな謡本で学びます→
最初はチンプンカンプンでしたが、難しいと思った言葉・日本語の美しさがわかるようになり、
回を重ねるうちに 物語が口語体で理解できるようになってきました。

華道・茶道の教えに深く影響を与えている世阿弥の「風姿花伝」。
一般的になかなか縁のない「能」、その教え 素晴らしさを 社中と共有したいと思いから「能のワークショプ」も開催。そしてその頃、私の師匠 宝生流 東川先生が先生の社中だけの発表会を開く事に。
この機会を活かさない手はない!と 高森社中「蓮心会」で発表会の「添え釜」を企画。
能楽堂の控室を一部屋借りて、出演者やご家族お友達に抹茶を点て出しでおもてなしします。
初回はなにせ 初めての遠征でしたから、社中もかなりテンパっていたようです。
が、今年3回目ともなるとすっかり慣れたもの。笑顔が余裕綽々、蓮心会社中 見事です!
また、この「添え釜」にお客様も慣れてくださり、何度も足を運んでくださります。
一回一回、積み重ねる事で関所を抜ける醍醐味を体感します。

そこで、今年の掛物は『関 南北東西活路通』。関所を抜けると何処にでも活路は通るよ、の意。
  ←会記も社中が書いてくれました。
私たちも出演の合間に、一服。→

一緒に習っている親友と一緒に「経政(つねまさ)」を無本(暗記して本を見ない)で、
連吟(二人以上で声を揃えて謡う)。そして、私は初めて仕舞「橋弁慶」に挑戦!
  →私は源 牛若こと義経。

今回は3回目という事で、先生から「蓮心会社中の方も是非」と声をかけていただき
有志を募り、3名で「羽衣」を無本で連吟!
3人は、たった三回ほど先生に指導していただいただけなのに、それはそれは見事な出来栄!
流石、私の弟子。サムライ根性が受け継がれています。(と、皆に云われました)

お客様も沢山来てくださり、「能」に馴染みのない方も『初めての観能だったが、とても楽しめた』と 大好評でした。
確かに、初めてでプロの能舞台を長時間見るよりも、ダイジェスト版で見ることが出来るので
これはなかなか良い機会かも?

来年4回目は、2月23日(土曜)に決定。同じく川崎能楽堂。
再来年は東川先生、五周年を記念して 本拠地 宝生能楽堂で「能」も企画しているとか?
月に1〜2回、一時間位の謡の稽古ですが、細く 長く 継続していきたいと思います。
先ずは来年2月を目標に、コツコツ。


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平成30年 初釜から・・

2018年9月8日 Category: blog
 今年の1月5日以来の「ブログ」です。今年の前半の半年は半端ではないスケジュールだと 前もって覚悟はしていましたが、それは想像を超えるほどでした。
9ヶ月経った今 ようやく机に座る時間が少し持てました。
ザッと思い返すと、1月「華道清祥会新年会」、2月「初釜」「華道清祥会研究会」「新年能会」、3月「IAC駒場前田亭茶会」「東京連合上野華展」「利休忌」、4月「蓮心会・松露庵茶会」、5月「日本橋池坊本部華展」「蓮心会懇親会」、6月「靖国神社史緑茶会」「京都華道歴史講座」「華道清祥会研究会」、7月「朝茶事」、8月「師匠宅朝茶事」。
そして今後の予定は、9月「清祥会青年部八ヶ岳方面散策」「靖国神社史緑茶会」、10月「天然忌」、11月「炉開き」「猶有斎襲名茶会(京都)」「京都華道歴史講座」、そして12月の「納会」。
どこまで、ブログへ書けるか不安ですが、時間を遡り更新していくこととしましょう。

毎年、年の始めを寿ぐ祝いの茶事「初釜」。なんと今年は、1月下旬に数回とんでもない豪雪が!
そんな中、竹垣を新しくするこにしたために準備が間に合わず毎日が大わらわ。今 思い出しても気持ちが高場ってしまう程です。
しかしそこは流石、ピンチをチャンスに切り変える茶人。長年の夢だった「敷松葉」をすることに。「敷松葉」とは、冬季に霜柱から苔を守る為に松葉を敷き保護をすること。
その風情が冬の露地の風物として素敵なので 私の憧れでした。写真が有ります。
  ←社中です
残る雪と松葉の風情が素敵でしょう?  
新しくした 竹垣→ とても良い竹だったので鉄砲垣根も新品に。
今年は「戊犬」、榊原勇一さんの狛犬の香合のお披露目です。  
「前茶」なので 炭点前の後に菓子、そして濃茶。
床の間の花は青竹の一重切に 紅白の椿と山茱萸。
山茱萸はミズキ科の落葉樹、季語は春。部屋を改め、広間の室礼で茶懐石〜薄茶。
 
今年は及台子に紫交阯の皆具、五代 五郎助作花入に紅白の梅と椿。
一汁三菜。煮物椀は「雲丹帆立真蒸」、八寸は「鮑と、ちしゃとうの味噌漬」。
  

敷松葉に新しい竹垣。当日の朝まで準備に追われ、どうなることかと気を揉んだ初釜でしたが
客にとっては初めての趣向に大興奮!素晴らしい茶事となりました。
今年は親友が茶会風景をビデオでも撮影もしてくれました。いつか まとめてみたいと思っています。

『しかし この敷松葉、誰が引き上げる?』・・との 不安が脳裏にかすめまませんか?
はい。それは5月、蓮心会社中有志で。
松葉の表面は乾いていましたが下は湿り気が残っていて大事な苔が水々しく生きていて、、
とても大変な作業でしたが、一同感動!昔の方が考えた技は素晴らしい、用と美の美しさ。
こんな 忘れられない伝説の初釜でした。

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「道」ってなあに?

2018年1月5日 Category: blog
皆様、明けましておめでとうございます。

平成三十年の干支は戊戌(つちのえいぬ)。1月2日には怖いくらい美しいお月様、そして今年は月食が
2回も見られるとのことで ワクワクしている私ですが、陰陽五行思想に詳しい友人曰く『土と土との組み合わせ=比和=土の性質が重なり強い年』だそうで、いわゆる土地が動く(地震など?)、
また、あらゆる「変動の年」になるとのことです。
人それぞれの運勢は自分の干支との組み合わせで変わるのでしょうから、私にはよくわかりませんが、何か<新しい動き>が生まれる年なのかもしれないと感じています。

私の今年のテーマは、「出会い」。
「一期一会」という言葉に代表されるように一瞬一瞬を大切に生きているつもりの私ですが、
つい 忙しさに流されてもしまいます。
年末年始はそんな一年を振り返り、反省とともに新たな目標をたてられる貴重な時節ですね。
今年は特に「出会い」を大切に、毎日を丁寧に過ごしたいと思います。

今日は昨年投稿し切れなかった事柄を記載します。“道”について、です。
(11月13日のブログへも写真などの追加投稿できました。)

夏休みに「親子で華道教室」を開催した際、私自身改めて“道”という言葉の意味を調べました。
そこで『道 ってなあに ?』をテーマに「華道、“いける”とは?」「華道の歴史」を
小学四年生の男の子たちと一緒に話しながらノートに書き、秋の七草を実際に生けました。

   
 感想は、『凄んごく 面白かった! イエイ! やったね!』。(笑)
帰宅後 自分たちなりに歴史を調べて、生けた花のデッサンに色付けして、立派な自由研究に仕上げたそうです。私も素直な男の子たちの真剣な姿勢に癒され、とても楽しい時間でした。

さて、この私たちが 当たり前に受け入れ わかったつもりになっている「道」という言葉。
実は、この言葉が定着したのは明治時代なのだそうです。
確かに、千利休が活躍していた頃は「茶の湯」と云われていましたものね。
江戸時代までは 剣道・柔道などの武術は「剣術」「柔術」など全て「術」。
華道は「立花(りっか)」、香道は「聞香(もんこう)」、書道は「書・手習い」でした。

何故 明治時代に「術」が「道」という言葉となったのか、私なりに想像してみました。
明治維新により改革され劇的に変動した時代。西洋の芸術、新たな思想や、異文化の導入も盛んでした。人々の意識や価値観も大きく転換したことでしょう。
それまで日本人同士の間で当たり前に通じ合っているはずの概念などを改めて言葉で示唆する必要に迫られたのではないか?政府の意図も何かしらあったでしょう。
新しい思想が入り、時代が急激に変わっていくことにより日本人の意識も変わっていく・・ その混乱を何らかの方法で統括する必要が生まれ、日本人の精神性を重んじるスピリットを “道” というその一文字に込めたのではないか?

本来 「道」という漢字は、古代中国で老子が「道(タオ)」という 事物や世界の本質、人としての生き方、その根底に迫る意味をもつ言葉です。その思想、概念を元に「〇〇道」となったのかもしれませんね..
(*話はそれますが昨年10月、この件について調べている時、生徒の在籍する東京大学の公開講座に誘われ 安冨 歩教授の<「道」とは何か? 『論語』と『老子』の世界観 >の講座を受講することできました。分かりやすいお話と教授の真摯な姿勢に感動し、とても勉強になりました。)

   ⇦安冨 歩教授 素敵な方でした。
(本題に戻ります。)

我々 茶道・華道などに用いられる “道” の言葉が意味するものとは?
私の見解を記します。
 「道」とは、< 結果ではなく、過程(プロセス) >。

西洋から導入した多くのスポーツの「勝つ」こと、<結果>が 重要ではないのです。
(勿論西洋のスポーツにも礼を重んじるものもありますので一概には言えませんが。)

  「◯◯道」の“道”とは、それらを媒体に 学び続けるとこを通して
  自らの生き方や自然の悟りを得るための “道” 。

 「悟ろうとする努力の経過」が“道”。
 “未完の美” の価値観、なのです。

分かりづらいかもしれませんが、ここが西洋の芸術の つねに新しいものを求めて発展進歩を求めるところと、根本的に違うところかもしれませんね。
しかし ここが、私のこの道の一番好きなところでもあります。

終わりがないからこそ、完成がないからこそ、勝ち負けがないからこそ、深い意味がある世界。
一生かけて学ぶ意味のある素敵な世界です。
今年も皆さんと出会い、一緒に学べることを楽しみにしています。


日々の稽古や、生徒の作品、ワークショップの様子などをF.B.に(たまに)アップしています。 https://www.facebook.com/茶道教室-華道教室-438381252917488/


西武新宿線沿 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道・池坊華道いけばな教室
蓮心会 高森 梨津子

外国人の方へ「茶事」で おもてなし

2017年11月13日 Category: 茶道のお知らせ, blog
 『今、日本がクール! 』 京都は勿論、富士山、秋葉原、、昨年日本を訪れた外国人は約2.400万人。わずか5年で3倍に増えたそうです。身近な街のあちこちで日々観光客を見かけるようになりましたね。2020年の東京五輪へ向けて私たちはさらに多くの外国人を迎えることになるでしょう。

 思いおこせば数年前 我が家でも、学芸大学の交換留学生30名位のへ茶道指導をしました。「座禅(呼吸法)」「茶庭からの席入り」「茶道の歴史」「茶室での礼法(炭点前・拝見の仕方・それぞれの意味)」「二人一組で実際に一服点て、いただききあう礼法の体験」などを行いました。『日本は素敵!』と若き学生たちが語るキラキラした瞳が印象的でした。
 個人的にも10年以上前から友人の依頼で、スペイン、ドイツ、イギリスなど各国の客人への茶道体験を開いています。華道でも 日本の大学生へ華道講師をさせていただいたり 華道ワークショップを開いたりして日本の文化を伝えることをし続けています。その経験を通して私が一番感じることは、『多くの日本人が自国の文化を知らないでいる』ということです。

 実は私、1987年(丁度30年前ですね) NYへ遊学しました。たった2~3ヶ月程でしたが、その時現地で知り合った日本人が あまりに日本の文化を知らないまま外国で暮らしていることに とてもショックを受けました。茶道・華道を習い始めていた私は、『どの国の文化もそれぞれに素晴らしい。でも真の国際交流とは、まず自国の文化を知り、紹介しあうことから始まるのでは?』と気付いたのです。
『これから益々、世界へ旅立つ日本人が増えるはず。そうした方々へ私が茶道・華道を伝えていけるよう学ぼう』と決意し帰国。夢中で稽古を重ね 今の私がいます。が、30年経ちその状況は当時より改善されているのでしょうか? (一概に言えませんが)英会話に堪能な人は増えても文化を学ぶ人は減少しているのではないかと感じます。そうだとすると とても残念なことです。

 我が家の教室では2年程前から中国人(日本語堪能)が数名稽古へ来ています。彼女たちと話をしていて気が付いたことがあります。
一人の生徒が云いました。『私は日本へ留学したくて必死に日本語を勉強してきました。そして日本に住むことが出来た今、中国のことが大好きな方々が私に中国の歴史などを詳しく聞いてきます。しかし、私は自国 中国のことをあまり勉強してきませんでした。それが今、恥ずかしいです。』と。
それを聞いた時に、どこの国でも同じなんだと分かりました。そして、日本人に伝えたい と こだわることを止めました。時間はかかるかもしれないけれど、私は国籍は関係なく 伝統文化「茶道・華道」を学びたい体験したいと願う方へこの素晴らしい文化を正しく伝えていくことが大切なんだと決意を新たにしました。思えば、日本人は昔から自国の良きものの多くを外国の方から教えられて気が付いています。上高地や桂離宮に代表される観光地や仏像・絵画もしかり。最近は盆栽も、外国の方の『クール!』で見直されていますものね。

 今年九月、生徒の友人から「海外から来日する西洋からの外国人を茶道で もてなしてほしい。」との依頼を受けました。依頼者の日本の方々も茶道を全く知らないので一緒に参加したい とのことでした。

茶道のおもてなしの極意は「茶事」です。せっかくなら表面的なことだけではなく、今までの私の経験を駆使し工夫すれば茶道の極意を体感していただけるのではないか、と内容を企画。
丁度同時期に 中国から一週間集中稽古のために来日する中国人女性と、スペインへ転勤する前の二ヶ月短期学習に学びに日本人女性が来ていたので、その生徒達にもこれは一番の勉強になると 平日に二週連続で「茶事(ダイジェスト版)の会」を開催しました。

 内容は、正式な茶事の流れを体験してもらうもので、①「寄付き」②「茶庭で蹲踞を使用し席入り・拝見・挨拶」③「炭点前・炭や香合の説明」④「一汁一菜の精進茶懐石と一献」⑤「濃茶・続き薄」。最後に「質疑応答」と「記念撮影」。
外国の方は正座が出来ませんから椅子も用意し、時間をかけないことに留意しました。
 写真は ④の精進料理の一部、一膳の内容は「玉蜀黍ご飯、昆布の出汁椀にとろろ昆布と刻んだ枝豆と梅干し、向こう付けは、胡麻豆腐(下に自家製味噌)。」
煮物椀の代わりに八寸「昆布の素揚げと、獅子唐」と日本酒。
   
全て私の手作り。当日の半東にはこれらの作り方を教えました。
両日とも、お客様からは『茶道の奥深さを感じることが出来た』と 大感動・大満足していただけました。なかなか、お開き出来ないくらい沢山の感謝の言葉を頂きました。
西洋の方々(6名)には写真撮影も構わないと伝えたのですが、静かに流れる時間に感動してくださり、シャッター音の全くしない茶の湯の時間を全身で味わってくださいました。

 中国人女性と日本人女性と私で一緒に露地で撮影した写真はあります。とても神秘的。
      華道の稽古も2回。

写真右上の中国から一週間茶道と華道の稽古のためだけに来日していたECHO(余 紅梅)さんは、日本語は勿論 ほとんど英語も話せないなか、六日間 身振り手振りで伝える私の厳しい稽古に一所懸命ついてきました。
  
そうして、最終日にお礼をしたいと 中国茶の儀式を披露してくれました。
それが、とても本格的で同じお茶の葉を時間をかけて何度も味わい、その違いを楽しむ式法でした。私達の茶道の式法より長い時間を要します。その儀式に参加し拝見している時に、納得できました。彼女は住んでいる場所は違っても 同じ「道」を極める同士だから この一週間を乗り越えられたのだと。
素晴らしい出会いであり、私にとっても深い勉強でした。

 茶道の世界、深さを言葉で説明することはとても難しいです。私は残念ながら英会話はほとんど忘れてしまいましたが、大切なことは「感じる」こと、と信じています。絵画を観る時も私たちは頭で理解しようとしていませんものね。
私が外国の方へ、あえて「茶道(茶事ダイジェスト版)の会」で 日本のおもてなしをしたい理由は、言葉を超えた何かを感じてもらいたいから。
身体で感じ 感動することで、もう一歩先を覗いてみたい そしてそれを「知りたい」と突き動かされるものだと思うから。そんな一瞬を感じていただきたい。それが趣旨です。

 最近、外国人に日本文化を紹介する(インバウンドと言うのですね)「Vacation Japan」『日本の伝統文化スペシャリスト(茶道・華道)』に登録されました。外国の方から直接アポが来るそうです。どうしましょう(笑)
少しは英会話を勉強し直さなくてはなりませんね? いやいや、自信ないなぁ・・
ん? 継続は力?・・はい。 頑張ります(汗;)


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「茶事」と「茶会」について 

2017年7月28日 Category: 茶道のお知らせ, blog
前回、「茶事」・「朝茶」とは? を 書きました。
では「茶会」とは? も説明しておこうかと思うので、書き足しておきます。

「茶事」とは、客を招いて、懐石・濃茶・薄茶をもてなす正式な茶のこと と説明しました。
我が家では基本的に、「初釜」と「朝茶」を開きますが、茶事自体は亭主の目的により、いつ、なんどきに開いても良いものです。
 初秋の夕方に行う「夕ざりの茶事」、冬の夜長を楽しむ「曙の茶事」や「夜咄(よばなし)」。夜の闇の中で蝋燭の明かりを手がかりに運ばれる茶事は、ベテランならではの醍醐味があります。
11月初旬には、茶壺の口を開ける「口切り」の茶事。今の時代はいつでも抹茶を購入できますが、昔はその家の一年分の葉茶を5月に茶園で摘み、茶壺に入れて発酵させ 立冬を過ぎた頃、開けるのです。一年に一回のその御宅の新茶を開ける瞬間に立ち会える茶事ですから、茶の正月と呼ばれるとてもおめでたい会です。
他には、参加できない茶事のその流れを味わう「跡見の茶事」、食事を省略する「飯後の茶事」、不意に訪れた客をもてなす「不時の茶事」、などなど。
 「祝い、追善、雪月花、行事、季節、時刻、趣向」を軸に必ずなんのために催す茶事なのか、その目的それぞれの趣向で開かれます。亭主は、その目的に沿った道具組み、献立、客組みを考え準備します。

亭主は、客にはあらかじめ説明し、了解をとった上で 改めて書状で案内狀を出します。そこにその茶事の趣旨と日時、場所、連客の氏名などが明記されています。
客の心得としては、受けた案内に対して 参、不参の返事をし 万難を排して出席する覚悟を持ちます。
考え方としては、結婚式に招かれたと同じことと捉えたらわかりやすいでしょう。同じことです。

ここまで書くと、「茶会」との違いがわかりやすいと思います。

「茶会」というのは、「大寄せ」とも云われるように茶道を学んでいる方もそうでない方も、興味のある方大勢がお見えになり、一緒に抹茶一服を頂くことができる場です。
茶会へ行きたい方は、茶券を購入し(数千円から数万円)、会場でその部屋に沿った人数で席入りし、お菓子とお茶をいただき、道具を拝見して楽しみます。
茶席は一席おあれば、4〜5席など大きなものまで様々。各席に席主という席をかけた方がいて、それぞれの茶室の室礼などを気軽に楽しむことができます。
京都の大徳寺では、毎月利休様の命日 28日に、「月釜」という茶会が開かれています。とてもレベルの高い茶会ですが、どなたでも参加することができます。
春、秋の外が気持ちの良い季節気持ちの良いには、「野点」という茶会もあります。

また、陶器など作家さんの展覧会や、文化的発表会などに 茶の湯で華を添える「添釜」も。
百貨店などで見かけた方も多いのではないでしょうか?
私の教室では例年2月に開かれる「新年能」の会で 添釜をしています。

招かれた方のみ(経験の有無は問いません)で開かれる最も正式な「茶事」。
券を購入しどなたでも参加できる「茶会」や、その場で楽しめる「添釜」。
どれも「粗茶一服」の姿勢には変わりませんが、茶の湯の本質に触れるのは「茶事」といえるでしょう。

写真が見つかったら、いつか追加しておきますね。
まだ 『想像がつかない!』と 思われた方、是非体験へいらしてください。『百聞は一見に如かず』です。


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「朝茶」「茶事」とは?

2017年7月24日 Category: 茶道のお知らせ, blog
我が家の茶道教室では、年に二回「茶事」を開催します。
冬は2月初めに「初釜」、夏は8月初めに「朝茶」を開くことにしてます。
そこで 今回はこの「茶事」について少し書いておこうと思います。
さて、「茶事」とは?

「茶事」とは、一般に 懐石料理といわれる茶の湯のための料理を伴った茶のもてなしのこと。
客をもてなす丁寧な形式の茶の湯で、正式な茶の湯のことでもあります。
「正式な茶の湯」とは、濃茶をもてなすことを中心に、その濃茶を美味しく点てられるために炉や風炉に炭をつぐ「炭点前」をし、濃茶を美味しく味わっていただくための料理をすすめ、また濃茶だけでなく、薄茶をもてなす仕組みです。

その「茶事」の基本となっているのが「炉の正午の茶事」と云われる手順です。

  茶事に招かれ、当日定刻少し前に亭主宅や会場へ伺います。
  先ず初めに「寄付き」と呼ばれる部屋で、身支度を整え、連客と挨拶したり
  客が揃うまで寄付きを拝見して待ちます。
  亭主側の方から「露地」へ移動するよう促されます。露地で、気持ちを整えて待ちます。
  亭主の「迎えつけ」と云われる挨拶があります。茶事は、ここからがスタートです。
     客側からみた順序としては、
一、初炭
  亭主が炭点前をし、釜の湯を沸かします。使われる炭道具や香の入れ物「香合」を拝見します。
        
二、懐石
  一汁一菜から一汁三菜。また点心やお弁当など趣旨・趣向により工夫されます。
  お酒とともにいただきます。 
三、菓子・中立ち
  茶懐石の最後にデザートとして主菓子が出ます。その後、席改のために露地へ移ります。
        
四、濃茶
  茶事のメインである濃茶を亭主が点ててくださります。床の間には茶花が。
        
五、後炭
  炭の力が落ちてきますので、炭を継ぎたす炭点前。
六、薄茶
  メインの濃茶が終わり、すぐお開きというのも名残惜しいので、干菓子と薄茶をいただき
  和やかに過ごします。記念に写真撮影もあるでしょう。

  亭主とはこの部屋でお別れです。客は露地を通り、寄付きに戻り身支度を整え帰宅します。
  この間、約四〜五時間。でも、あっという間に感じます。

この炉の正午の茶事の順を基本に、「朝茶」「前茶」などのバリエーションがあります。

「朝茶」とは、七月や八月の猛暑の昼に客を招くことが無理な時節、五時や六時の早朝から九時〜十時、日が高くなる前の「夏の涼気を楽しむ」という心意気から生まれたもの。
暑気払いの効果や、暑い季節だからこその道具やしつらえを味わい、季節とともに歩むのを楽しむ茶事です。
特徴として、夏の早朝、釜に清新な朝の水をつぐという所作、懐石の料理も夏の朝ですから、焼き物は省き生の魚は使わない「一汁二菜」。
丁寧で正式を軸に 朝茶では、「初炭」「懐石」「菓子・中立ち」「濃茶・続き薄茶」という順序で、「後炭」を省略し、濃茶と薄茶を続けて点てることで時間を短縮し、サラサラと進めることが信条です。

夏のご馳走は「水」。亭主は、前夜からしっかりと道や露地に水を打ち、準備を始めます。
お客様には マイナスイオンたっぷりの露地や、夏ならではの道具の取り合わや花、献立を楽しみ、メインである濃茶を皆で味わっていただきたいです。

普段の稽古はこの「茶事」を楽しむ作法や心を学ぶもの。ですから、茶事は稽古の集大成。とはいえ この茶事は、どの段階でも客として楽しむことができます。本当の「日本のおもてなし」を体感できます。
今夏は、稽古社中は勿論、懐石料理を協力していただいいる割烹料理店の若手スタッフ三名、昨年からタイに転勤している華道の弟子、主人が経営するスペインレストランへアルバイトで来ている交換留学生のスペイン人女性と体験の方も大勢参加します。私はまさに今、準備に追われていますが、この生みの苦しみ無くして 成功はないので頑張ります!

 「茶の湯こそ せぬひともなき手すさみの 心のするは世にもまれなり」/道安(利休の息子)


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