蓮心 表千家茶道教室 池坊いけばな華道教室

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表千家教授職の授与

2019年12月31日 Category: blog

今年 平成31年は、5月1日から令和の時代に変わるという二度 正月があるような華やかな年でしたね。 おめでたいニュースも多々ありました。同時に、震災や事故 事件も数多くありました。復興にまだまだ時間がかかると聞いています。華道で使用する花材への影響からもヒシヒシと感じ、心を痛めております。

ごく当たり前のように同じ毎日、毎週、毎年を繰り返せるということが 実はかけがえのない “幸せ” なのだということに、年を重ねるほどに深く感じ感謝をします。あらためて一日一日自分の出来ることを大切に丁寧に生きていきたいと思います。

 さて、私の令和元年を振り返ると、大変目まぐるしくもありましたが幸い、毎年繰り返す行事を無事に終えることができました。

特筆すべきことの一つは今年、表千家の最高職である教授職を授与させて頂くお許しを家元から頂き、令和元年10月25日、京都不審庵での式へ出席させていただいたことです。それはそれは、素晴らしい一日でした。

京都 表千家 不審庵にて。

表千家の家元「不審庵」は京都 小川町寺の内にあります。表千家を象徴する門は紀州徳川家から寄進された門構えと石碑。中は通常非公開ですが門構えと石碑は小川通りから見れます。運が良ければ門弟が水を撒いている姿が見られるかも?門構えはとても重厚感があり、内側からヒシヒシと緊張感が漂っています。「不審庵」とは「不審花今日春」の禅言から採られたそうです。

(因みに、同じ敷地内の裏に門を開き千家の茶の湯を伝えている裏千家は「今日(こんにち)庵」。近くの武者小路通りで千家の教えを伝えているのが、武者小路千家「官休庵」です。)

日本の伝統文化である「茶道」を集大成させた 千利休。その震源地である不審庵は、日本一の茶道の本拠地。と いうことは 世界一の「茶の湯の聖地」。

 この表千家不審庵の門を始めて潜ったのは25才、短期講習会に参加した時でした。短期講習会とは、「若い世代の方に本物を見、本物を体験してもらう」ことを目的に表千家が冬と夏に開催してくださっている合宿のことです。その時の一週間の素晴らしい体験が今の私を作り、あの一日一日の感動が今でも私を支えてくれています。

(確か、当時の写真が一枚だけあると思うので、見つかり次第アップしますね ~~)

まさに その私の原点であるその場所に教授者となり再び座る日が来るとは、、その時は当然想像もしていませんでした。

不審庵の方々からの素晴らしい授与式が進行する間、今までの稽古の日々が私の頭の中に走馬灯のように脳裏に浮かんできました。

 茶道を全く知らなかった私が、先生宅の茶室に始めて体験に参加した時の驚き。フリーでデザインの仕事をしていた私がよくプレゼンで活躍させていたのが「床の間」の写真。『御社が伝えたいことをこの床の間のように、シンプルにまとめてみましょう!』なんて、良く知りもしないのに言葉巧みに使っていた。その「床の間」が、目の前に。思っていたより、かなり奥行きがある。

掛物は、「閑座聴松風(かんざして松風を聞く)」。先生から『ただ座って松風(しょうふう・松を渡る風の音)を聴くという意味よ』と教わりました。

言われて注意してみると釜から「ごぅ〜 っ」と、かすかな音が。

『これは、自分が静かな気持ちでいないと聞こえないのよ』と。どなたもお話をしない「し〜ん」と静けさが充満している茶室。

 しかし.. 私は目の前のお釜から、ブンプク茶釜の絵本に書かれているように、ポンっと狸のシッポや顔がでて来るんじゃないかとの想像が止まらなくなり、ひとり、笑いを抑えるのに必死だったことを覚えています。そう、風炉の季節でした。

こんな感じ?(笑)

茶道を学ぶ前は、私も「茶道・華道はお嬢様のためのお稽古事・花嫁修行」と思っていました。

でも、よく考えると千 利休が活躍していた戦国時代に女性が嗜んでいたとは考え難い..

はて?では「茶道」って、どんな世界なのだろう?

 旅行が好きな私は、色々な場所へ行き、現地の方から自国の文化を誇らしげに紹介され、そして必ず『では 日本の文化を紹介して』と。それに答えられないことほど恥ずかしいことはありませんよね。外国の方で日本好きな方は、私たちより詳しかったりしますし。

そう、そんな私だったので 直ぐにお稽古を開始。「これは単なる女性の為の花嫁修行だけではない!」と いうことだけは、直感でわかったのです。

とにかく、全てが新鮮で楽しくて、初めの10年は先生の吉祥寺教室の全稽古と週末 曙橋でのお寺での稽古など出来る限り通わせて頂き、その日以外は仕事。という目まぐるしい日々。

しかし「茶道が好きで好きで仕方ない」「まだまだ学びたい」という気持ちが一瞬も失せることがないまま「コツコツ」、気がついたら33年。

一日も休まず「地道」に稽古を積み重ね、この度 表千家教授職の授与に至りました。

(前置きが長くなりました。)

この度 不審庵での授与式 では、昨年宗旦になられた而妙斎宗匠と家元を襲名された猶有斎のお二人から授与されるという幸運にも恵まれました。

授与式では、猶有斎から直接「猶有」の名前の由来をお聞きすることができました。

平成10年2月に大徳寺管長、福富雪底老師より「猶有斎」の斎号を受け、宗員を襲名されました。

「猶有」とは、『猶(なほ)有(あら)じ』。

中国『傳燈録』の『猶有這箇在なお這箇の在る有り)』からとられたものだそうです。

「這箇」は、(きりがない)という意味で、さらに進めばまたさらに先があり、きりがなくあるという意味で、「努力をずっと続けて行きなさい。」という意味だそうです。

『皆さんも、本日 教授職を授与したことが終了ではなく、これからが勉強の始まりだと思って益々勉強に精進して欲しい。自分もさらに学び続けていく所存です。』と仰って下さいました。

本当にありがたく、深く胸に響きました。

授与式では、25年前の短期講習で担当の先生だった貫名宗匠が薄茶を点ててくださりました。感無量です。その時 総長だった(故)木下宗匠の非常~に厳しい雰囲気(でも実は愛情深い)は 決して忘れることはないでしょう。講習会最終日に私が代表として木下宗匠からお濃茶を頂いたことも忘れ得ぬ思い出です。

この度の教授職を得るに至り、改めて先生方の教えの姿勢をしっかりと伝えていきたい と心に誓いました。

私の元で稽古を始め、続けている生徒はみな、どこかしら が昔の私に似ています。

昔の自分に先生が根気強く、茶の湯の教えを指導してくださったように、今、同じことを全く同じように生徒に伝えている自分がいる。

ここ数年、私の生徒から短期講習会へ参加する者も出てきました。現在、次期講習会を目指して特訓中の生徒も続々と。こうして微力ながらも文化を繋げていけることに つくづく幸せを感じます。

これは、ひとえに師匠の教えのお陰です。

人から人へ、心を伝えていくことの楽しさと その重み。

全てのことに対して深く「感謝」しています。

ありがとうございます。

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