蓮心 表千家茶道教室 池坊いけばな華道教室

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令和3年 連合華展の報告..など

2021年5月22日 Category: blog

一年ぶりに第88回池坊東京連合支部いけばな池坊展が、今年3月21日より 30日まで、開催されました。

私は2期の23・24日に 「四海波(しかいなみ)」 という花器に「生花・逆勝手」という指定で特別席に出瓶させていただきました。

『四海波 静かにて 国も収まる時つ風〜君の恵みぞ有り難き‥』。 

謡曲「高砂 (たかさご) 」の一節にあり、『波風がおさまって天下国家が平和なことを祝う』もので、私も生徒の結婚式で謡わせていただいたことがあります。

四方形の口つきは、「天下」を意味する四海を表し、角形の胴には四つの丸鐶と丸耳があり、「八方円満」を象徴す美しい形になっており、四十三世池坊専啓好みの生花 (しょうか)用の花器です。

謡と同じように、花器も『波風が収まり、世界の平和を祈願する』思いを込められて造られたそうで、昨年4月に、京都六角堂にて専永宗匠が感染症の終息を祈って菊の生花を本尊如意観音菩薩に供えられました。菊の花言葉は「傲霜 (ごうそう) 」。

「傲霜」 とは、晩秋に大方の花が散ってなお、霜を恐れず花を咲かせる姿から、外圧に屈せぬ気骨ある人物に喩えられる言葉です。

傲霜の「傲」は誇り高く屈しないことを意味し、霜に負けない菊の姿を、新型コロナウィルスに屈しない人の姿に重ねて、感染症に負けないという思いを込め生けられたそうです。

供花にあたり、家元は、

 『このたび、日本のみならず世界規模で猛威をふるっております新型コロナウイルス感染症の脅威は、私たちの日常を大きく揺るがす事態となっています。目に見えない脅威にさらされている私たちの心もまた、日々、やり場のない恐怖に冒されつつあります。この大禍に際し、僧侶として、また、花の道に生きる者としてできることは、心からの祈りを込めた花をいけることと心得ました。
本日4月17日、明日18日は、観音さまの縁日でございますれば、当山のご本尊であられます如意輪観世音菩薩に花を奉じ、新型コロナウイルス感染症により尊い命を落とされた方への慰霊と、一日も早い感染症終息のご縁をいただくべく、あたう限りの祈りを込め供花を勤めさせて頂きます。
 また本山は、見真大師(親鸞聖人)が百日の参籠をされ、観音様の夢告を受けられたとされる地でございます。このご縁にあやかり、新型コロナウイルス感染症の打開と、世の安寧が得られますことを切に祈ります。』 と述べられました。

四海波に、黄色の菊をいけられる家元

四海波に、白色の菊をいけられる次期家元

 

四海波に生けられた生花は、本尊如意輪観世音菩薩に供えられました。

 

今このような大変な時期、私がこれまでいけばなを学んできたなかで、深く感銘し、一番伝えたいことがあります。

それは、生け方のノウハウだけではなく、池坊の根底にある 「命をみつめる」 という姿勢です。

どんなに人間界が混乱の中にあっても自然の巡りは何一つ変わることなく、冬を越せば草木は芽吹き花を咲かせます。

花が咲いている時間はわずかです。しかし、その美しい姿を見せる時間よりも実はずっと永い時間、根を張り、葉を広げて栄養を蓄えているのです。

機が熟して花芽をつけるまで。

  

私は寒中 花の蕾が、膨らみ 木からドクドクと呼吸する声が聞こえる冬の桜の木が大好きです。

どんなに寒くても、勇気を頂き、春の兆しを感じます。

頼もしいまでの自然の営みが、安心感を与えてくれるように、私たちは花を生け続けることで、人々に安らぎや 明るい光となること を願います。

「専応口伝」 という 池坊に伝わる伝書は

『ただ綺麗な花を挿すのではなく、心の風景を込めて生けなさい』 と伝えています。

池坊いけばなの教えは、『花を生ける技術だけではなく、正しく心を育むことができれば、我々も必ず美しい大輪の花を咲かせることができる。』 という 『道』 の教えなのです。

  

今回3月は華展が開催されましたが、5月の華展は中止となりました。

このような時節には、私たちは綺麗な花を咲かせることだけにこだわらないで、寒中の桜のように、心の根を張ることに集中する時期なのだと思います。

花を生ける者にとって、「生けられた花はその人自身」です。

そんな、壮大な思いを胸に今回の作品を生けました。

作品↓

私の作品木瓜。「生花・四海波・逆勝手」

 

大それたことを書きましたが、花を購入し、それを広げたときは目の前が真っ暗になりました。

とても厄介な激しく暴れた枝ぶりの花ばかりだったからです。

「またもや、大変な試練が始まった・・」と 数時間絶望感に負けそうでした。

今だからこそ笑っていられますが、作品を生けあげるということは、その最後の瞬間まで、実は全く気が抜けられません。本当に真剣勝負です。

まあ、その緊張感もいわゆる 「生みの苦しみの醍醐味」 なので、慣れることはない試練であり、また快感でもあるのでしょう。ハハ。

 

そうそう! 5月の本部華展が中止になったことで、今月末までフェイスブックでインターネット華展を開催しています!私も私の社中も出瓶しますので、是非ご覧ください。

日々の稽古や、生徒の作品、ワークショップの様子などをF.B.にアップしています。
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