2023年 3月東京連合花展 報告
さあ、京都「春のいけばな展」の後期をなんとか観、上野の東京都美術館で開催されている「東京連合華展」へ、飛んで帰りました。
上野の連合華展は、ほぼ毎年 3月21日(火)〜30日(木) の10日間。京都の華展は24日〜27日でしたので、もろに被ってしまったのです。
(華展の報告は、そのころのInstagramとF.B.にライブで投稿しています。そちらでは、勝手に他の方の作品も掲載させていただいておりますが、このblogでは基本的に自分と社中などにしています。)
前回の報告で記載した、1次に出瓶した八幡 純平さんの作品から。この作品の仕上げを見届けて、京都へ行ったのでした。↓のびやかで素敵な作品でしょう?
3次の 25・26日。私は京都華展で全く携われなかったのですが、頼もしくも遠藤和歌子さんは一人でこの作品を仕上げました。↓勿論全て、彼女のアイディア。
彼女の自由花は、自分の好きな世界のイメージを一貫して持っています。それがとても素敵なので、より深く、完成度を積んでいくように稽古を重ねています。
そして 5次 29・30日は、上野の連合会華展デビューの山田美玲さんと、私。
山田美礼さんは、小品自由花。↓ 彼女の作品の前にはいつも人だかり!
今回は、北欧フィンランドの建築家、アルバ アアルトのフラワーベースを使って製作したいとの希望。剣山は使わず、銀やブルーグリーンのワイヤーで抛げ入れのように花を挿して制作しました。花を置く台も自分でシルバーの紙を敷いて。 花の陰が照明で綺麗に演出され、「森の中の湖」のイメージ通り 表現されていました。
彼女の華展デビューは、昨年秋、東京清祥会 青年部の華展でした。その時の彼女の作品の印象は、「さすが一級建築士! グッゲンハイムの建築みたい〜」。
「花を生けることと、建築はとても似ているところがある」と気がついた貴女の これからの華道人生は、薔薇色よ。
東京清祥会 青年部の華展では、もう一人、木村奈月さんも華展デビュー!
↑ 伸びのびと空間をたっぷりともった爽やかな自由花です。
あら。去年の上野華展の写真が出てきました。昨年も報告出来ていなかったので、ここで一瞬 脱線して掲載させてください。↓
2022年、樋口 亜季さんの新風体生花↓ スケールが大きくて、見事!
そして、私の2022年。特別席。「紫雲」逆勝手 の指定でした。 ↓
ありがとうございます。
戻りまして今年の上野の私の作品。近年しばらく上記のように↑「生花」の担当が多かったですが、久しぶりに「立花 新風体」が当たりました。
勿論、この華展のための試作は積んできましたが、花材は、生き物、旬のもの。自分の思い通りには決してならないものなのです。我々の常の稽古は、どんな事態にも『臨機応変』に自由に花を生けせることが出来るようになるため。
『臨に応じて、機に変割れる』ための稽古。
花と出会った時の感覚はまさに「JAZ」。花たちと私のジャズセッション。特に「新風体」は。
ありがとう。その日、出会った花たち。
雪柳・山吹・ストレチア・アップライト・コプロスマ・オクラレウカ・ドラセナ・ホワイトスター・シャレ板。
そして会場へ、いらしてくださった方々、ありがとうございました!
スミマセン💦もう一つだけ、脱線させてください。
このブログを書くために写真を探していたら数年前の私の自由花の写真が。自由花の作品は掲載したことがないので。 日本橋三越で開催された東京華展。↓ 何年前だったかなぁ・・・
↑「瀧から落ちる水飛沫」をイメージしたくて、棒のアクリルを何色かのブルー系に染めて、熱をあてながら曲げて苔木とあわせました。懐かしいです。
実はわたし、稽古を初めてしばらくは 自由花が専門?と思われていた位、自由花の出瓶が多かったのです。池坊の自由花は、幅が広くてデザイナー時代の脳が刺激されるので好きです。
(二度の脱線から戻ります)
3月一杯の華展が無事に終了し、4月4日、ようやく小金井公園の山桜を観に行けました。仕事の後、夜中でしたが。凄い大木でしょう?
毎年、見事な花と香りを楽しませて。とても癒されます。
人生・・・ 思いもよらぬこと、様々なことが起こります。
しかし、たとえどんなことが起こったとしても、自然界の営みは休むことはなく、季節が巡る。そしてその度、それぞれの花を咲かせます。
逞ましく生きる草木の命に見習って。私も、与えられたこの命を大切に生かそうと思います。
↓青年部で開催した筑波山での「花供養」の写真です。
次は 4月10日から京都中央研修学院 生花研究室 二年目一期が始まります。
さあ、命みなぎる春を味わい尽くします!
日々の稽古や、生徒の作品、またプライベートもF.B.とInstagramにアップしています。
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よかったらご覧ください。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室 蓮心会 高森 梨津子
2023年 3月京都「春の華展」報告
令和5年 京都池坊中央研修学院の学院祭が 3月24日(金)〜27日(月)に開催されました。石渡雅史生花教室は去年から開講しましたので、雅史先生の元で、一年間学んできた成果を発表する初めての場です。先生、おめでとうございます!
↓石渡雅史生花教室の指針。
先生がデザインされた教室の舞台。古典的な作品は、まるで和室の道場席のような落ち着いた雰囲気の室礼で、とても素敵です!↓
三種生けや、新風体のコーナーは、明るくモダンな室礼。↓
先ずは、石渡雅史先生の作品。↓
↓先生の作品に先生のお言葉。
『草木との対話は、花をいけるものに与えられた かけがえのない時間』
はい。時に、生みの苦しみにもがくことも ありますが (笑)・・・それも含めて「花との対話」。本当に「かけがえのない時間」なのです。
そして、私の作品。↓
前回のブログで報告した通り、花はなまもの。注文した花材があるとは限りません。又、隣付近の方との花の取り合わせも気をつけなければなりません。前回、レンギョウで試作をしていましたが、お隣の雅史先生の作品が連翹をメインに生けていらしたので、私は「木瓜(ボケ)」で真を上段流枝に。そして副・躰も木瓜で正風体の規律を作り、ドラセナの赤い葉とかすみ草をあしらいに生かしました。自分でも「私らしい作品」だなぁ と感じる作品となりました。
「古典的ななかに、新しい出会い。」そのテーマを感じていただけたら幸いです。
毎回なにより楽しみにしているのが、専永宗匠の道場席の作品。↓
専永宗匠の作品の前に座ると、不思議に肩の力が抜けて、そして徐々に心が元気になる素敵なエネルギーを感じることができます。正座して 何時間でもこの作品の前にいられます。(と云っても、ここはとても混んでいるので現実的には不可能なのですが。笑 )
この春に毎年開催される華展は、京都・六角堂にある池坊中央研修学院の学園祭。各クラスごとの一年間の成果を発表する華展です。前期、後期と二日間づつですが、生け込みなどの準備があるので早めに上京します。
以前この学院祭は四月に開催されていましたが、桜が美しい京都なので当然物凄く混み、毎年宿が取りにくくなり、又、四月は新年度が始まり一期の授業と重なってしまう事も多いので、最近は三月に繰り上がりました。
いたしかたないことなのですが、毎年三月中旬から約半月間、池坊東京都連合会の華展が上野の東京都美術館で開催されます。
なので毎年三月は、華展月間 (汗) 。
そう、この華展のために上京する21日、生徒のひとりが上野の華展出瓶の日!練習を重ねた甲斐があり、とても素敵な三種生けが一人で生けられていました。その報告は次回に。
今回京都の華展の後、 東京の華展へトンボ帰りするのがわかっていたので、21日上野で生徒の手直しを終え、早めに上京できたので京都府立植物園へ。
この植物園は私の癒しの場。山歩きをした気分になる小道があるのです。日陰ツツジや貝母、一人静、土佐水木、桜の大木!を堪能し、楽しみを先取りしました。
来月の4月8日に、表千家同門会の企画で戸部博園長と一緒にこの植物園を巡るツアーに参加します。それも、雅史先生の2年目の一期が始まる前のお楽しみの先取り計画。何故ならその一期の一週間の授業が終わったら、金曜にはトンボ帰りして土曜は家の華道稽古と、日曜の「利休忌」の精進料理の出汁をとったりと準備に大忙しになることがわかっていたので。
学びも遊びも、仕事も、と、超欲張りな私。私の生徒たちは皆わかってくれているので助かります。
人生、切り替えが大切!
以上。
上記の情報は、今年の3月の F.B.とInstagramにアップしています。
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↑自分で上記検索すると、Facebookはなんか違うページに行ってしまうようなので。要確認事項ですね。(どなたか教えてください!)
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2023年 1月 池坊いけばな「生花」の学び
京都中央研修学院、総合特別科 石渡雅史先生の研究室の学びです。年に4回、1週間、池坊生花を徹底して深く学びます。
私は10年前の 平成23〜25(2011〜2013)年の3年間、総合特別科 松永先生の古典立花の研究室に通いました。本当に素晴らしい学びでした。その時もこのブログに学んだことを書きたいと願っていましたが、忙しさに流されて叶いませんでした。でも、書き残しておきたい思いはどうしても諦めきれない。こうした池坊の深い学びを、私だけのなかに留めるのは とても勿体ないとこと思うので、今年から自分の復習もかねて、このブログに書くことにします。時間はかかりますし時差はありますが、お許しください。
まず一年度の四期、2023年 1月11日(水)〜15日(日) の五日間から。
初日は「松竹梅(しょうちくばい)」。
初傳(初伝)で伝えられる『生花五箇条』のひとつ。
日本人が古くから大好きな「松竹梅」。その由来は中国の「歳寒三友」から。
「歳寒三友」とは、中国の宋代あたりから、文人の理想「清廉潔白・節操」を、冬を代表する植物を「三」というめでたい数字にセットにして表現する画題。
日本でも松や竹は古来から自生していて、その生命力のたくましさが崇敬の念を集めてきました。
平安末期には縁起物として松と竹を組み合わせた門松が、新年の門前を飾っていました。常緑の松は、長寿の象徴。成長力旺盛の竹は、繁栄の意味。奈良時代に憧れの中国大陸から日本にやってきた梅は、春一番に美しく芳しい花を咲かせる冬の希望、風物詩、風雅の象徴です。
松・竹・梅、いずれも枝ぶりに応じて真 添 に生けることができます。竹は池坊では「たれもの」に分類されるので、根締めに使う時は熊笹を用います。
私は「竹の真」を生けました ↓ 竹の高さは2メートル以上はあり、付き葉を生かすので「どこでどう切るか?」を とても考えます。梅が副、躰が松です。
「井筒(いづつ)」とは、竹を切って「井」の字型に植物を挟んで生ける手法。主にこの松竹梅と、初傳、七種伝の「水仙」の二本生けで使用します。
私の作品は、「竹の節が水際から一寸上がりで奇数節」という決まりを守り、7つ節にしたところ、大変な大作になってしまいました。
この「松竹梅」は、「真・行・草」の生け方があり、いずれも水際の躰に竹、基本的に陽方奥に梅、陰方に松となります(逆になることも有)。竹は通常「*通用物」(*池坊では陸物とも草ものとしても扱うことができる植物)。松や梅は陸物。なので竹は「草の心」となるからです。(→この辺りを説明していると非常〜に長くなるので稽古で直接、伝えます。いつでもお尋ねください。)
この伝花は、『祝儀の極み』。品位が最高の花形なので、いける時は両脇に他の花は置かない。花器も銅器か金(かね)物。花台へ置くもよし。など色々伝承されています。
何故ここまで「松竹梅」に言及するかというと、茶道の世界と密着しているからなのです。
三十五世池坊 専好の自詠に
『松竹と ならべてさすも 左より たけは水際と生て 立なん
木にあらず 草にもあらぬ 竹なれば いける水際の ふしに知べし
右歌の意得 専一なり 水より一寸の 節を見るべし。』
さて、2日目は「水仙」と「万年青」。二つとも初傳「七種伝」です。
水仙は、松竹梅と同じ「井筒」配りで生けます。
水仙は『陰の花 水仙に限る』『賞美すべき花なり』と伝えられている「真」の花形の花です。真の花形なので、二本生けは基本的に竹の「寸胴」に生けます。
水仙の真っ直ぐに生きる出生(しゅっしょう)を生かすため、横掛けにいける事はしません。「置き生け、向掛によし。」
『葉の数は、偶数。蕾はひくく、開き花は高く。白根は蕾の水際に用う。
冬は他の根締めに用うことはしない。早春より根締めに添えることも、また、
水仙の根締めに金盞花を用いてもよし。二、三本生ける事よし。
祝儀の席に用うべし。』
「水仙」の花は凛としていて、馥郁たる香りのこの花を生ける時、私はいつもイギリス人女優 オードリーヘップバーン を思い浮かべます。
5日目最終日は自由花材だったので「水仙の3本生け」をお玄猪へ生けました。↓ (日程順ではないですが続いた方が分かり易いので)
3本で生ける時は、「井筒」ではなく「花配り」に。
「真」の株の前に「副」の株を入れ、その副の葉が陰方後方へ降り出す特殊な生け方です。稽古で生けたものが分かりやすいので↓
上記に記載通り、竹二重生けの下の重や、筆の花入れなどにも生けます。
この水仙、シンプルで簡単そうに見えますが、一株の姿 そのまま生けることはできないので、まず下の「袴」と呼ばれる花を包んでいる苞から中身の花と葉を順番に抜き、そしてあらためてその袴に長い葉から順番に仕組み直します。これが、初めはなかなか上手くいかず、難しいのです。昔、何度も袴を破ってしまい、『先生、これゴムで括っちゃダメですか〜?』と泣きべそかいて笑わせてくれた生徒がいたっけ。笑
この袴に入れかえる手法、皆さんに是非一度、体験してもらいたい。
続いて「万年青」。まんねんあお、と書いて「おもと」。
万年青も「祝儀」の花です。
「中傳」に『万年青を用いる事は 相続易き物故なり。唐土にては熨斗の替わりに是を用う、相続易く物なればなり。(中略) 祝儀には万年青を用い 実のない時は仮に実を作りても用う。但し 婚礼に紫色を用いず。』
「実物」は、本来祝儀の席には用いないことになっています。池坊は、明日咲く蕾に希望をたくす。実は花の後、過去のものと捉えるからです。
しかし!この万年青だけは別ものなのです。中傳に伝承されているように、
一年中青々として次々と新葉をだす万年青。
その出生は、向き合って生じた昨年の葉の間から、今年の春、新しい花茎と新葉が成長し、実は赤くなる。昨年の古い葉は新葉と実のために外側へ押し出されて傾く。
その姿を、冬に真っ赤に染まる実とともに賞美されるのです。
意外に身近に植えられている万年青。今、大河ドラマで話題の徳川家康が江戸城本丸に入城する際に、家臣から三種類の万年青が献上され、家康にとても喜ばれます。
一年中枯れない美しい緑色を保つことから、「繁栄」を象徴となり、確かに徳川はその後 300年の長きに栄えたことから、「引っ越しに万年青を贈るのは縁起がいい」という風習になったのです。
生花の中で役枝を「立葉」「露受葉」「流葉」「前葉」と扱うことも、また、丸く穴の空いた「石穴」と呼ばれる石の中に生けることも、独特な万年青です。
我が家では毎年、お正月に床の間に飾ります。
3日目は「梅」。梅の一種を、お玄猪(げんちょ)へ。
松竹梅でも書きましたが、春、先がけて咲くお目出たい花。
現在開花している花の枝、来春に芽吹く青い枝、そして苔むした古木で表現されるこの一瓶は、力強く生きる喜びに溢れています。
梅園に行かれた方は、咲いている花だけではなく、苔木(苔むした木)や、ずばえ、と呼ばれる来年花を咲かせる枝となる青い棒みたいな枝に気が付かれるのではないでしょうか? 必ずありますので、まだ気がつかれていない方は、来年楽しみにしてください。花が咲いている枝だけではなく、こうした梅、そのものの姿を尊重し、力強く生けます。
先人の植物を観察する審美眼にはいつも感服いたします。
梅は、稽古のベースとなるもの。基本なので「伝花」ではありません。
4日目は「三種生け」。
この後、池坊開館で 3月24〜27日に開催される「春の華展」の試作です。私は「三種生け」が指定されました。
連翹(レンギョウ)の変化形「上段流枝」で、真・副・躰の花率を作り、ドラセナ・ブラックリーフで、真・副のあしらい。かすみ草もあしらいで。
古典的ななかに、新しい出会いを求めます。
でもまだあと2ヶ月あり、花材が揃うか分からないので、どんなことになっても臨機応変に対応できるように稽古します。
長々書きましたが、これが京都の一週間の学びです。
東京では、深夜まで起きていてやらなくてはならないことに追われる日々ですが、この京都の学校に滞在している時は早寝・早起きで、一番健康的な生活ができます。『花の勉強だけ』できる。こんな幸せな事はありません。ホントウに。
そして、この学びを次の世代に伝えていく。その仕事を私の「使命」と信じていますので、学び続けます。
こんなに素敵な日本文化。日本に住んでいながら知らないでいるのは「勿体ない!」ことですよ。
茶道、華道で心を豊かにしていきましょう♡
日々の稽古や、生徒の作品、またプライベートもF.B.とInstagramにアップしています。
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https://www.instagram.com/sado_kado_ritsuko/
よかったらご覧ください。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室 蓮心会 高森 梨津子