令和6 (2024)年「稽古初めの茶事」報告-[前編]
私たち花と向き合う池坊人は、草木の命と日々向き合っています。与えられた命を懸命に生きる草木の姿勢に共感し、それを私たちの生活に投影し自らを高めていく営みこそが池坊の華道なのです。
今年2024年は心痛む出来事から始まりました。たくさんの尊いいのちが失われました。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして被災された方々の心が一日も早く癒され、復興が進むことを願っております。
被災された場所、地域に一輪の花があれば、少なからず人々の心に希望の火が灯ると信じます。池坊華道は仏様に供える花、仏前供花から始まり、日々の生活の安寧、家族地域の平和を祈願する祈りの花そのものが原点なのですから。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/IMG_2764-1024x1016.jpg)
本題の蓮心会「稽古初めの茶事」は、1月27、28日に開催しました。
年末から茶懐石の試作や準備を進めていたとはいえ、1月は清祥会の新年会。その日の後すぐ 京都へ上洛し、生花教室2年度の4期を終え(前回報告をしました)、その一週間後だったので、年明けから目がまわるほどの忙しさでした。
その一週間後は師匠宅の「初釜(稽古初めの茶事)」、その2週間後は 同じ清祥会 石渡正子先生の講義で青年部の「立て花勉強会」。この「立て花」の勉強会に社中 4人と参加し、正子先生の講義は 立て花が生まれた時代背景かいけばなの歴史、今に至るまでと、詳しく素晴らしい講義でした。(実技は上の写真です。)
そして先日 2月24日(土)は能の師匠、東川尚史先生の「尚月会」発表会。
今年も蓮心会有志、山田美礼さんと木村奈月さんの二人の連吟「竹生島」から始まり、私と阿部櫻子の素謡「清経」、仕舞は「巴」で出演させて頂きました。今年で9年目。発表会も勿論ですが、蓮心会の有志で持たせていただく「添釜」も回を重ね、蓮心会の皆さんの「継続の力」が育っていることも実感しています。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/66993E00-1297-43A4-86C0-4A5D17B87A9E.jpg)
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/91452117-D598-4FA8-81D2-07229D592212.jpg)
3月ひな祭りの日に師匠が席主を持つ「靖国神社茶会」や、3月中旬には清祥会の研究会(石渡雅史先生の講義と三種生けの実技)、その後すぐ3月13日から京都池坊の学園祭(3/15〜18)「春のいけばな展」です。
京都華展のすぐ後、「利休忌」と、3月21日から28日は上野の「東京連合会華展」。ノンストップで4月には石渡雅史先生の3年度1期が始まります!
そして 4月は、私がこの茶道・華道の世界に入るきっかけとなった師匠の娘 美香さんの一周忌、誰より尊敬する大好きな女性でした。5月は母の一周忌。
そう。
長くなりましたが、なぜ「初釜」ではなく今年は「稽古初めの茶事」と云うかという理由がここにあります。
ということで、(ようやっと)本題の茶事報告をいたしましょう。今年は母と、美香さんに想いをよせて、そして同時に 新年も寿ぐような道具組を考えました。
「甲辰(きのえたつ)」の「甲」は、十支の最初。新しいことに挑戦し、成功する年。また辰は龍、「昇り龍」と言われるように、勢いよく活気に溢れ これまで準備してきたことが形になるそうです。
玄関の短冊
『一花開天下春(いっかひらいて てんかはるなり)』 即中斎筆
「一塵起こって 大地収まり 一花開いて 天下春なり」
虚堂禅師の言葉『心華発明(しんげ はっしょう)』
〜心の花が咲く〜 “悟りの開き” でしょうか。
寄付きは色紙『飛龍(ひりゅう)』、建仁寺 小堀泰嚴老師筆。
茶事の直前に師匠正子先生に戴きました。先生からの応援に心から感謝致します。
今年は4年ぶりに本席は「小間」の室礼にしました。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/IMG_2312-1024x826.jpg)
掛物は足立泰道老師筆『東山水上行(とうざん すいじょうこう)』。
今年ほどこの言葉の意味の深さを実感したことはありませんでした。
炭点前は小間なので、一閑の神折敷、羽根は黒鷲。
4年以上前に見つけて出番を待っていた炉縁の登場!見事な黒柿。指物師は大崎雄斎。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/2F0AA52A-4382-47A8-AE93-CB4BC14E0CD3.jpg)
香合は辰。12年前に京都の和楽で揃えていた当時を懐かしく思い出します。
露地へ移って頂き、濃茶のために席を改め「後座」へ。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/86771E7D-B752-4533-87F2-0A93F71F9BD2.jpg)
花入は弥三郎(北川 宏幸)作、「笛」。花は万作と加茂本阿弥。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/IMG_2434-1024x937.jpg)
琵琶や笛など音がでるものは、弔いの意味があるとのこと。
水指 備前耳付 伊勢崎満、茶入 膳所 陽炎園、
茶杓 堀之内宗完 手つくり 銘「白梅」、茶碗は4年ぶりの嶋台。
主菓子は、亀屋万年堂製「辰きんとん 白百合根製」。龍の手で宝珠を掴む図案です。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/IMG_2325-768x1024.jpg)
濃茶は、柳櫻園の猶有斎好 特別引き上げ「楽寿の昔」。
![](https://renshin.me/wp-content/uploads/2024/03/IMG_2334-1024x1006.jpg)
小間で炭点前の後、濃茶をいただき、室礼を広間へ変え「茶懐石」をいただきます。この、茶懐石の前に濃茶を頂いていただくスタイルを「前茶(ぜんちゃ)」といいます。
さて、長くなりましたので前半はここまで。後半は広間席からを報告します。色々盛りだくさんで すみません(笑
日々の稽古や、生徒の作品、ワークショップの様子などをF.B.にアップしています。
*教室と個人的な投稿も。↓
Instagram↓
ttps://www.instagram.com/sado_kado_ritsuko/
Facebook↓
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室 蓮心会 高森 梨津子