蓮心 表千家茶道教室 池坊いけばな華道教室

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2023年 7月 池坊いけばな「生花」の学び

2023年10月15日 Category: blog

(池坊いけばな「生花」の学び、去年の報告も一緒にさせていただいているので間際らしくてすみません。月の時系列で投稿しますので、ご理解ください💦)

今年令和5年の池坊中央研修学院、石渡雅史生花教室 2年目 2期 、7月3〜7日の報告です。

よく皆さんに云われるのです。『年に何度も京都へ行くなんて優雅ね〜、羨ましい〜、沢山名所を知っているのでしょう?』と。

現実は~~、皆さんが想像してはるものには~~ 全く当てはまりませんのや~~ (京都弁)。 毎朝 6時半には起き、8時半に開門する六角堂の学院へ入り、授業の準備。 9時半から12時まで講義(10分の休憩あり)。昼食の後は 18時まで実技 (きっかり15時に15分のおやつの時間あり)。毎日がついていくのに必死な講義と、目の前の今日中に生けるべき花のことに必死で 一日が あっという間! 18時過ぎ、ご挨拶で解散すると毎日クッタクタ。勿論、観光する場所は全て閉まっているし、行くエネルギーなんて残っていない。お腹ペコペコ、早く帰りたい、明日のために寝たい。そんな五日間なのです。

 しかし、花だけにむきあい、華道のことだけに「缶詰」状態で学べる。こんな幸せな時間があるだろうか。海外旅行より贅沢で濃密な時間を堪能できる深〜い期間。

ま、しかし 欲張りでタフな身体も持つ私としては やはり、せっかく京都へ行くのだから、茶道の教えを感じられるようなひと時、また、東京では味わえない「お休み」を愉しめたら…との思いで「どこからしらへ」と、いつもアンテナを張っている。スミマセン、貪欲なので。

 ことのほか猛暑が厳しかった今夏。そんな日々のなか、「京都で 蓮を じっくり観たい」そんな希望が私の胸にうずいていました。

「水無月」のお菓子を食べて、名越の祓えの行事を済ませた7月初旬、祇園祭の準備が進み出した京都へ一日早入り。

久しぶりに花園駅近くの「宝金剛寺」五位山、ここの庭園は素晴らしい。「天龍寺」も好きなお寺ですがいつも混んでいるのでサラサラと素敵な庭を堪能しながら抜け、竹林側へ出てその裏山の竹林を越えて、本命の小倉池へ。

「宝金剛寺」の蓮
小倉池の蓮

ここはまだ未開の地なのか?蓮のシーズン前とはいえ、周りにはほぼ誰もいない。

小倉池のふもとに鎮座する「御髪神社」側から。空気が澄んでいる。
今でこそ、知らない人はいない 天龍寺の裏道 。

こうして 現実に生きている植物を実際に見て廻ることは、とても勉強になる。古人が『花は脚で生けよ』と言った意味がよく分かる。

実際に稽古で生ける作品と、現実に目の前に咲いている自然界の姿とは全然違うのだけれども、その ” 型 ” 生まれるべくして生まれ、その心が今に伝えつづけられているその “ 想い” が理解できる気がするの。

  観光客で混む前の午前中早々に、小倉池の蓮に癒され滞在先へ帰宅。さあ、明日からの始まる授業に備えます。

 

  2年目 2期 、7月3日 初日は「蓮」。私がこの世で一番好きな花。

蓮の花や蕾、朽ちた葉や花にも深い意味がある。それがこの花の特徴で池坊では「命」「時間」を表現する生花です。

水盤に銅筒に配り。写真を撮るときに真の葉がよってしまいました・・

現在を表現する「開葉」「開花」。

未来を表現する「開葉」「開花」「莟」。

過去を表現する「朽ち葉」「蓮肉(れんにく)」。

 水の深さを測る役、偵察隊の「浮き葉」。

『 一瓶調えたる姿は さとり の 因(おこり)なり 』

一昔(25年位?)前、京都の夏期講習で蓮の生花・立花を学んだ記録を見つけたので投稿します。↓この時は当然 剣山。今は、当然 配り。

京都の夏期講習で蓮の生花。一番大きな剣山を購入。
京都の夏期講習で「蓮の立花」前置きは河骨。

蓮の花、関東はたいてい茶碗蓮と呼ばれる小ぶりな花。関西の蓮は大きさが まるで違うので迫力。この花を生けていると誰もが幸せで平和な気持ちになります。

 2日目は「株分け」。今回は、太囲と燕子花で「魚道生け」。

魚道生け

「株分け」は根本の「躰」を分ける手法です。

砂鉢に銅輪を置き、花配りで生けます。

「魚道生け」とは、両方の株が ” 水辺で生きる植物 ” 。

「水陸生け」とは、” 陸地で生きるもの” と “水辺で生きるもの” を生け合わせる表現。← 陸ものと水物は一つの株になれない由。

(「水陸生け」は、2022年 2期 3日目で「夏はぜと燕子花」で投稿しています。)

「陸もの」を二種で株を分けて表現することはしません。一種でもね。←「一つの命」なので。

三種生けに限り、副が別れることがあります。

新風体も同じ剣山で株分けることが、今、流行していますね。

  

 三日目は、燕子花の二重生け。   

竹の二重切り花入に、二重生け

上の重には「懸崖の花」、下の重には「立ち登る姿」を表現します。

  

『ベストを常に出すのは難しい… 今ある実力の一番の解答を出す。

専永宗匠の父、専威宗匠が、

『いけばなの目的は、“ 人生の陶冶(とうや) ” にあり』と伝えたそうです。

「陶冶」とは、焼き物の粘土をねるなどの工程でのことす。

人格を形成することと同じ。

人生は、どう悟りに至るよう目指すか。悟りを得られる道、

『人格の完成を目指している』

  

「成長しよう」という気持ちが、若さであり、10代でも諦めたら老人。

脳の成長はいつまでもつづきます。体力は平行しませんが…。

素晴らしい教えです。

  

四日目は、「月」の花器に燕子花。

月に燕子花。

上空に浮かぶ月を象徴する花器なので、軽やかに生けます。

「反ること」が若さの表現。とお聞きましたが、なるほど確かに。踊芸の世界での表現も同じですね。

  

最終日は、「交ぜ生け」。「交ぜ生け」は秋草に限り許される表現。

情景描写として、主従の分けなく 一瓶をまとめる、夏の水辺の情景描写として生まれた手法、「行」の花行です。

秋の野にありそうな植物たち

・芒と、女郎花、桔梗、菊

・女郎花と、撫子、桔梗

・桔梗と、撫子

・刈萱と、撫子  など。

夏に活用する水物では、

・太囲と、燕子花、河骨

・蒲と燕子花

・葦と、燕子花   など。

 実技は、「芒と、女郎花」。

「交ぜ生け」芒と、女郎花を御玄猪へ。

花かがみより「太囲と、燕子花」↓ (反転しています)

「交ぜ生け」太囲と、燕子花
柴田教授の作品。

 以上。

最終日に蜻蛉返りで、次の日は東京お茶の水の池坊会館で「巡回講座」です。

  

さて、これで7 月までの報告ができました。(去年の10月のはまだですが)

 

ようやく、7月23日に弟子たちが私の “還暦のお祝い” に「茶事」を開いてくれた報告ができます。

 お楽しみに。

  

  

 

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