蓮心 表千家茶道教室 池坊いけばな華道教室

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令和8(2026)年 初釜報告(前半・小間編)

2026年4月14日 Category: blog

令和8年度「初釜」報告です。長くなりそうなので、前半と後半に分けますね。

近年の年明けの茶事を思い返すと、昨年は「東京清祥会支部設立25周年・石渡正子師卒寿記念華展」が一月にありましたので、初釜は「春の茶事」として三月に行い、また一昨年は喪中のため「稽古初めの茶事」となりました。ですから新年を寿ぐ「初釜」は三年ぶりの開催でした。こういった一つ一つの行事を開催できることのありがたみをしみじみと感じます。

今年の干支は丙午。「丙」は五行では「火」、陰陽では「陽」にあたるため、「強く表に出る火・エネルギーが外に向かう太陽のような燃え盛る状態」だそうです。そこから「丙午の女性は夫を不幸にする」などという迷信が生まれたと言われています。

こんな干支のことを知っている四柱推命に詳しい友人から、私の命式の日柱(日干)が「丙」なので、「今年は“火”が強いからキレやすい。気をつけるように」とアドバイスをもらいました。

はて。こんなに静かで、目立つことを嫌う大人しい性格なのに?……笑

確かに、毎年、年の暮れはあまりの多忙に心が折れそうになり、かえって攻撃的になってしまう傾向があります。心を戦闘モードに切り替えないと忙しさに対応できないからです。しかし!今年の初詣で手に入れた小さな神棚に、毎日柏手を打つ習慣が続いていて、今のところ「穏やかな心、キレない自分」を保ち続けております。はい。

さて、初釜用に午・馬にまつわるお道具は何があるかな?と 探してみたところ、即中斎宗匠が「銀鞍」と書かれた扇面を見つけました。銀の鞍(くら)と書いて「ぎんあん」と読むそうで、銀で装飾された豪華な馬の鞍のことだそうです。

調べてみると、李白の漢詩『少年行』に「銀鞍白馬度春風(銀鞍の白馬、春風を度る)」との一節がありました。これは、貴公子や若者が美しい馬具をつけ、颯爽と風の中を駆け抜ける華やかな情景を詠んだもの。まさに高貴な身分の方の正式な装飾鞍とのことです。扇面も金と銀の華やかな気品あるデザインです。

この馬に乗ったような、優雅な気持ちで、お茶事の一日を過ごしていただきたいと思い、玄関に飾りました。

即中斎宗匠筆「銀鞍(ぎんあん)」

寄付には、八代・丸山應祥が描いた人形と梅の絵に、即中斎宗匠が「献春」と画賛された、いかにもお正月らしい掛物を掛けました。

煙草盆は一閑櫛形、火入は青楽木瓜形。

丸山應祥描「人形と梅の絵」即中斎宗匠画賛「献春」

お客様は露地へ移り、亭主である私から迎付けを受けます。

露地にて迎付け

本席の掛物は「一箭中紅心」。九代 了々斎筆、即中斎箱書。

今年初めに流鏑馬の色紙を眺めていて、“一本の矢、一射で的の紅い中心、すなわち核心を射抜く” ことの重みを改めて実感しました。一箭で核心を射る情景を描いたこの言葉は、日常の忙しさにどうしても流されがちな自分を、戒めてくれているような気持ちがします。

華道の世界でも、作品を完成させ生かすのも、たった“ひと枝”で決まるのです。

台目棚で小間の室礼。炉縁は黒柿、指物師・大崎雄斎作。

炭取は久しぶりに「脛当」を選びました。片岡竹元斎作。最近放映中の大河ドラマで、よく甲冑姿を観ている影響を受けたのか?と自問します。いえ。師匠の稽古場でこの炭取籠を見た時の感動を思い出したのです。

炭取「脛当」片岡竹元斎作。

香合は、私が茶道を習い始めて2年くらい経った頃に、師匠の稽古場で先輩社中の陶芸家による香合を作る機会がありました。かなり昔に造った馬の形をした香合です。なんと、干支が三周りもしてしまった程、前のものです!

その頃は携帯も無いので、馬の顔ってどんなだったっけ?と想像しながら。なかなか良くできているのではないかと自画自賛しているのですが、いかがでしょうか。

今年の年賀状用に馬のイラストを探していたとき、三十七年前の私が頭に描いていた、まさに理想の香合の形はこれだ!というイラストを見つけました。もちろん、そのイラストで年賀状を仕上げました。

そのイラストは、馬が自分の身体に頭を埋めて休んでいる姿です。

しかし皆さん駆け回っている馬の絵の方がオメデタイ雰囲気なので “なぜ?”と思われた方が多かったと思います。また私自身のことを、駆け回っているイメージだと思いる方も多いと思いますが実は静かに休むことも、休んでいる姿も好きなのです。それは単なる憧れなのかもしれません?笑

今年の年賀状と手作りの香合

主菓子は表千家お正月の定番「常盤饅頭」。亀屋萬年堂さんにお饅頭の皮の山芋を増やしてもらい、モッチモチに仕上がっていました。

初釜は「前茶形式」に戻しましたので、お菓子をいただいてから腰掛けへ移っていただきます。

銅鑼で向付けになります。

銅鑼で向付け

後座の花入は尋牛斎書付の竹一重切り、正面の反対側に「佳日」と銘があります。のちほど説明しますが、今回は “竹” がサブ・メインテーマなのです。

花は鶯神楽(ウグイスカグラ・スイカヅラ科)と、ピンクの曙椿。どちらもおめでたい名前ですね。

尋牛斎書付の竹一重切り「佳日」。鶯神楽と曙椿。

水指は高取、十四代 (亀井)味楽、そして茶入は小岱焼、仕服は雲鶴緞子。茶杓は兼中斎共筒箱、銘「白梅」。

濃茶入れ「小岱」仕服は雲鶴緞子、茶杓は兼中斎共筒箱、銘「白梅」。

今年初下しすることにした茶碗は萩焼。当15代(板倉)新兵衛(正治)さん作です。

出帛紗は而妙斎宗匠好「瑞松染」帛紗。袋師・土田友湖製です。流石、いつまでも触っていたいほどの柔らかな食感の絹です。

而妙斎宗匠好「瑞松染」帛紗。袋師・土田友湖製

御抹茶は、柳桜園の而妙斎好特別引上「祥雲の昔」。茶道を学び始めた頃から馴染んでいるこの味に心が落ち着くので、近年蓮心会の定番になっています。

ここまでが、小間の室礼です。

このあと広間の室礼で茶会懐石と薄茶を差し上げます。

続きは「後半・広間編」へ。

*投稿に少し時間はかかると思いますが、気長にお待ちください。ませ。