令和7年 蓮心庵「朝茶」報告:後半
令和7年 朝茶報告 (後半:続き薄茶〜道具紹介〜手紙抜粋〜まとめ)
ここからは 続き薄茶からお道具、そして皆さまのお声をまとめます。
続き薄茶とお道具
風炉先は兼中斎花押の腰地網代。
風炉釜は宗心花押「松竹文真形釜」(十二代加藤忠三郎作)。
水指は榊原勇一作の平水指。

今回の目玉のひとつは、煤竹の茶杓「節下皮めくれ」。竹を切った際の傷が長年燻されて味わいを帯びたものです。
銘を社中で考え、武田士功住職に箱書きをお願いする計画です!
どんな銘が生まれるか、楽しみでなりません。
茶入は、伊勢崎 満作 備前肩付。お仕服は青木間道。
茶碗は、14代 楽 吉右衛門 覚入 黒。銘「永寿」。(13代即中斎の箱書)。

薄茶は「続き薄茶」でさらりと。茶器は鎌倉彫、一見重厚に見える茶器ですが 手に取るととても軽く、繊細な菊彫の作品で蓋の裏に堀内宗完宗匠の花押があります。
替え茶碗は清流之絵の平。尋牛斎の書き付けがある共箱で、蓮心庵 夏の定番です。
建水は鉄黒様・引三郎作。
蓋置は榊原勇一さんの「宝尽くし」。今年の清祥会華展にいらして下さった時に直接いただいたお祝いの品で、皆さん大喜びでした。

平水指 蓋置 榊原勇一作 風炉先 兼中斎花押 腰地網代
濃茶は久しぶりに柳櫻園「祥雲の昔」、お干菓子の後の薄茶は「栂尾の昔」。

煙草盆は、溜一閑・鱗鶴透(近左作)、火入れは祥瑞、煙草入れは檀紙。如心斎好みのキセル。
この日のために梅雨前から庭の手入れや試作を繰り返し、皆で準備を重ねました。
当日は不思議なほどスムーズに流れ、4時間以内でゆったりと終えることができました。
親友で映画監督の櫻子が最終準備の金曜日から2泊3日で茶事の様子を撮影してくれました。どのような形になるのかは未定ですが、私たちにとって大切な記録となるでしょう。


皆さまからのお手紙
今回も皆さんからお礼のお手紙をいただきました。その一部を抜粋してご紹介いたします。
『夏の催しとして毎年、この山を登り切るような思いで、この季節を迎えております』と、前礼をくれた蓮心会料理長から、『少ない半東での御茶事はとても大変でしたが、Nさんと息を合わせながら、お互いが頼れること、敬うことが出来る仲間であることを、とても実感しました。自分のことばかりに精一杯であった時よりも、感じ取れる場所が少しだけ増えてきたようにも思えます。
今回は櫻子さんと、買い出しや仕込みにてインタビューを受けながら、改めて何故お茶を続けているのかを考えてみました。
何が起きてもやり遂げる。自分にとってのたくましい意志を育てているのだと思います。様々な目的に対しても、しっかりと向き合っていき、本気で自分の人生と対峙していけるという意味が込められていると思います。また 席入りでのお客様同士でも、同じ気持ちと思い、チームワークで楽しもうという皆様の心意気をとても強く感じました。先輩方が揃って参加できたことも嬉しく、先生がこの度のテーマに「仲間と語らうこと」をあげていただき、一番良い場面だったなぁと、色々なテーマのお茶事があると思いますが、自分としては一番好きなテーマでした。
この瞬間を永遠に続けたいと思うならば、自分自身がお茶を学び続け、自分でもお茶の機会を作り上げられるようになりたいと思いました。』 (S.K.さん)
『櫻子さんによる撮影も加わり 伝統とは何か 継承とは何かと自らを省みる良い機会ともなりました。(中略) 本席の掛物 山雲海月情は まさに 蓮心会の日頃の結晶のようなお言葉でした。善因善果を体現するかのように石渡先生からの教えが高森先生へと続き そこに高森先生の個性が加わって 素敵な社中が集い 良い気が満ちあふれているように感じます。私もまた お茶の素晴らしさを周囲へお伝えできるようお稽古を積み重ねて参りたいと存じます。』 (M.Y.さん)
『今回の茶事で一番思い出すのは 「お抹茶が格別に美味しかった!」という記憶です。あの時のお濃茶の味は衝撃的でした。たくさんの魅力的な情報の中で この一服のお茶が 確かに茶事のメインだと感じました。こんなお茶が点てられるようになりたい と 原点回帰に至った次第です。「青山元不動 白雲自去来」 どんな環境の中でも私らしくで良いのだ と 背中を押してくださるお言葉 先生が読んでくださり一層心に沁みました。
「山雲海月情」 蓮心庵に集まり協力して茶事を楽しめる仲間がいること 立ち返る場所があるということ それをつなぎ続けてくださる先生がいらっしゃることに 感謝いたします。』 (S.K.さん)
『改めて思うことは 茶道はチームワークだということです。亭主、客、半東がいて 皆で作り上げるということ。それが楽しいのだと思います。(中略)出会いというのは本当に不思議なものですね。高森先生と蓮心会の皆様と出会えたこと こうしてご一緒できることを嬉しく思います。本当にありがとうございます。まさに 山雲海月情 ですね。初めてお茶事に参加させていただいた時は 分からないことばかりで これからやっていけるのだろうか と思いましたが、今こうして楽しいと思えるようになったことが成長なのかと思います。
お茶室、玄関、露地、お道具、お懐石、お菓子 あらゆるものに心が込められていることが分かるようになりました。客と半東、両方の立場を経験させていただけるので 少しずつ見えるものが変わってきたことを実感しています。
生きていると色々なことがあります。会社で嫌なことがあったり、津波や地震などの災害に見舞われたり いつも平常心でいられたら どんなに良いでしょう。でも隠れて見えなくなっているだけで もともと本質は そこにあるのですね。表面の感情にふりまわされやすいですが少し立ち止まってみることは 生きにくために大切なことですね。
ただお点前を学ぶだけが茶道ではなくて、茶道を通して 自分はどう生きるのかを学んでいるのだと思います。これからも作動と共に生きていきたいと思っております(略)』 (N.K.さん)
『人生は長いようで、本当はあっという間で、日々、先生や社中の皆様にも色々な出来事が起こり、心がゆれる中でも、ひとつの事をたんたんと変わらず続けていくことを、何も変わらないように受け取り、受け入れてくださるのが蓮心会なのですね。そのありがたさを心より感じ、感謝しております。帰る場所があるというのは、支えになります。先生の今回のテーマが今の私の心境にとても刺さりました。きっと今日の朝茶の事は、一生忘れないと思います。
瀧から始まる室礼や、手間暇をかけた素晴らしいお料理、お互いを思い、さりげなく助けあう社中の皆様、そして、それら全ては先生のお人柄とご指導の賜だと思っております。』 (M.K.さん)
『ちょうど “雲収山岳青” という禅語を思い出しました。先生という太陽があらわれて 悩みや迷いという雲をけちらし、青い山岳という自分達社中のあるべき姿 本来の姿を表してくださる。
はたまた 青い山岳が先生で 自分達が 五里霧中でも くもりでも晴れでも ずっと 変わらずどっしりとそこにいてくださる
先生はずっとそんな存在で見守っていらっしゃるなと 日本昔ばなしのような世界を思い浮かべつつ 感謝の念に堪えません
自分自身が新緑 紅葉 雪山と ぐるぐる季節をめぐっても いつか どっしりとした 青い山になるよう精進いたします。』 (A.H.さん)
結びに
お手紙の一つひとつに、私の想いが深く伝わっていたことを感じ、感激しました。
社中や仲間のおかげで私は茶の道を歩み続けられています。
今回残念ながらご一緒できなかった方も、心は確かにこの場にありました。
櫻子、記録を残してくれてありがとう。
そしてご参加くださった皆さま、支えてくださった皆さまに心より感謝を込めて――。
これからも季節ごとの行事や茶事を大切に続けてまいります。
どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室
蓮心会 高森 梨津子