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令和8(2026)年 初釜報告(後半・広間編)

2026年4月29日 Category: blog

令和8年度 1月31、2月1日に開催した「初釜」後半・広間編の報告です。

露地でひと時を過ごしていただき、銅鑼の音を合図に広間へ席入りしていただきます。この時、露地の奥に一輪の梅の花が咲きました。

寒い日でしたが、まさに芭蕉の弟子、服部嵐雪の俳句『梅一輪 一輪ほどの暖かさ』を実感させてくれました。

〜 梅一輪 、一輪ほどの暖かさ 〜

広間の床の間には三玄院 藤井誡堂筆「竹有上下節」。この言葉は「松無古今色」との対句です。図らずも今年の師匠宅の初釜の広間席がこの対句でした。

実は、今年の初釜のサブテーマは「竹」なのです。

青竹の一重切りに、結び柳に紅白の梅と紅妙蓮寺椿と賀茂本阿弥の白椿。やはり「結び柳」は華やかです。

広間床の間 藤井誡堂筆「竹有上下節」、結び柳

この結び柳の飾りを初めて拝見したという社中がお二人いて、お礼のお手紙に「これが初釜ならではの室礼なのだ!と感動しました。」と書かれていました。初釜報告の前半で記載した通り、確かに 3年ぶりでした。

床の間の上に、二周り前の和楽の馬の蹄の香合を、即中斎の自筆「寿チラシ」の出帛紗の上に乗せて飾りました。

棚は久しぶりに小袋棚。水指は(鎌谷)宗芳作、唐銅捻梅。風炉先は慈照寺(銀閣寺)東求堂古材で作られ、有馬頼底老師による曳き船の自画賛。炉縁は川瀬表完作の唐松蒔絵。茶器は而妙斎書付の住吉蒔絵、作者は山中塗の中村孝也さん。

広間の室礼

さてさて、蓮心会名物?お待ちかねの「茶懐石」です。

茶懐石の献立
炊き立てのご飯と白味噌仕立ての味噌汁に花麩、向付は真鯛昆布締。
左:和楽製 馬のお皿に黒豆青松刺、右:煮物椀 蓮根真薯

焼き魚:真魚鰹の味噌幽庵、預け鉢:巻き湯葉、足赤海老、慈姑。鴨吉野煮、海老芋、下仁田葱、絹さや。強肴:芹帆・立・貝柱・牛蒡の芥子酢味噌和え、木の芽。

焼き魚、預け鉢 二種、強肴、飯

金柑と松の実の小吸い物で口をあらためた後に、八寸とお酒。

海と山の幸「八寸」裏白を敷いて。
広間の室礼のなかで、茶懐石。

八寸は、自家製カラスミと、千社唐(チシャトウ)の味噌漬け。これがお酒と最高のマリアージュでした!

茶懐石は、香の物とさ湯でお仕舞い。

このあと、名残り惜しいのでお薄茶を一服点てます。 煙草盆は溜一閑 鱗鶴透 近左作

お干菓子は末富製味噌合わせ。馬の絵と馬の字の焼印。この焼印の馬の文字は反転し、馬も右から左に向かっています。これは、「左馬(ひだりうま)」と云うそうで…

馬の絵と字の焼印の味噌合わせと、州浜松葉をねじ梅の干菓子盆へ。
清水焼 祥瑞6代 浅見五郎助さんのお茶碗は24年前の作品。

「うま」を逆転して読むと「まう」と読める。「まう」は「舞い」を思い起こさせ、おめでたい席などでは昔から舞は欠かせない物であったため、福を招く縁起の良い文字とされているそうです。また、馬は右から乗ると転ぶという習性があり、必ず左から乗ることから左馬は倒れないとして、人生をつまづくことなく過ごすことができる、縁起の良い言葉だそうです。

あ!24年前の浅見五郎助さんのお茶碗もちゃんと「左馬」。皆さん、ご存知でしたか?
12年前には気が付かなかったことに気づける幸せ。まだまだ知らないことが沢山あります。

お薄茶の茶碗は、膳所陽炎園の槍梅、永楽の乾山写、唐子遊びの筒、乾山老松など。

そして!今回のサブメインである茶杓の「銘」の発表です。

「本煤竹皮めくれ」の茶杓は昨年の朝茶でお披露目した、京都 高野竹工で最高の技術を有する伝統工芸作家である堺宗元(そうげん)さんが制作した茶杓。

その茶杓に皆で銘の案を出し合い、妙喜庵の17代住職、武田士行和尚様に銘を書いていただく。という企画です。

銘「相生」 妙喜庵 武田士行和尚箱

銘は、「相生(あいおい)」。「相生の松」の相生です。

この茶杓にこの銘を考えたM.K.さんの想いを記載させていただきます。

『 前回の朝茶事に思うところが多く、そのときに感じたことが選んだ理由です。

意味は、互いに生かし合う、共に生きるという意味ですが、禅語では天地、万物が互いに依りあって存在しているという仏教の根本的な考えの一つだそうです。

書道の先生に伺ったところ、相生の松などにすると、調和や和合の意味でもあり、よい言葉なのですが、言葉としての格も非常に高いそうで、恐れ多くなってしまうため、茶杓では相生 だけにしておいた方が良いでしょう、とのことでした。

先日の茶会で感じたことをこの言葉に込めています。

また、茶杓の節から上と下の部分の様子がちがっていることも、共に生きる、生かし合うということばにぴったりだと思いました。 』

素敵な銘を考えてくださり、ありがとうございました。

前回の朝茶で、皆さんに「”茶杓”と深く向き合ってもらいたい」との私の思いから、“銘を考える”お題を出したのです。皆さん素晴らしい銘を考えてくださり、投票で決めるつもりでしたが、実際にはとても一つには決めきれませんでした。この話は長くなるのでまた別の機会に書こうと思います。

広間でお薄をご馳走します。
初日は私が薄茶も点てて、

建水は而妙斎好みの砂張筋に、交趾の三つ葉蓋置。

日曜日は半東のMiyukiさんが薄茶を点ててくれました。

無事に二日間、今年の初釜を納めることが出来ました。

 

〜頑張った準備も報告しますね〜

当日の盛り付け。
前日の仕込み
上:松葉一本いっぽん、安全ピンんで穴を開けてから挿します。
下:慈姑を面取りし、梔子で染めます。

Miyukiさんの整理メモ。これだけで物語が浮かびます!

外の準備も頑張りました。蹲の青竹換えは私の仕事。

新年に青竹を少し入れ替えます。
茶の湯の世界では全て変えないところが、「粋」だそうです。

皆さんからの御礼のお手紙も素晴らしく、全てここに記載したいですが、とても長くなるので一通だけ。↓↓

『内半東、外半東、懐石のそれぞれの準備と役割が別々のようでいて、実際にはすべてが一つの茶事という物語を繋いでいくために重要な支えであることを改めて実感することができました。(略)

外半東として露路の掃除をしている折、ふと目に入った梅一輪の姿が深く心に残っております。寒さの厳しい中でも確かにそこにあるあたたかさが初釜のお席全体の空気と重なり胸に沁みるように感じられました。お席の内だけでなく外の景色や空気までもがひとつの室礼であることを改めて教えていただいた様に思います。(略)社中の皆さまと過ごす時間も心地よく晴れやかさの中にやさしさが満ちた空間だったと思います。中でも、お茶杓のお披露目のさいに先生と正客様がお話しなさていた通り、名が与えられることで物に魂が宿るよう、とお聞きし、名前が添えられることでそのものが歩んだ時間やこれから重ねていく時間までもがひとつの姿として立ち上がるように思い、深く心に残りました。(N. E.)』

 ( ; ; )♡

〜次回は7月末に朝茶事を開催します〜