令和7年 蓮心庵「朝茶」報告:前半
令和7年 朝茶報告 (前半:玄関〜本席〜懐石・菓子〜外腰掛け〜花)
残暑お見舞い申し上げます。
7月最終の週末、蓮心庵にて夏の茶事「朝茶」を無事に開催いたしました。
今年も本当に暑い7月でしたが、8月も半ばを迎えた今思い返すと、あの頃の方がまだマシだったかも…と思うほどの暑さですね。
ご参加くださった皆さま、そして準備に尽力してくれた社中に、心より感謝申し上げます。
ようやく一段落しましたので、取り急ぎご報告いたします。
(この記事は 前半 です。後半は「続き薄茶」から「皆さまのお声」までをまとめていますので、近日中に公開いたします。)
玄関
尋牛斎宗匠の短冊 「青山元不動」。
青山元不動 白雲自去来
(せいざん もとを うごかず はくうん おのずからから きょらいす)
〈五灯会元〉
“ いつでも何をするにしても 万緑万境(周囲の色々な現象)に心をとらわれて右往左往することなく 泰然として我が道を貫き通しなさい ”
今年は、いまの自分に刺さる言葉から始めてみました。

寄付
立花大亀老師筆「瀧」の掛物を。滝の飛沫を浴びていただくような気持ちで。
煙草盆 手付桶 火入れ 青楽木瓜。
本席
掛物は、「山雲海月情」(碧厳録)。而妙斎宗匠筆、即中斎箱書き。
語(かたり)尽くす 山雲(さんうん)海月(かいげつ)の情 〈碧眼録〉
“ 山・雲・海・月の情心、即ち一切の心のことで、親しきもの同士が胸中の心情、境地、心境のありったけを、お互いの腹の底まで包み隠すことなく、あらいざらいに打ち解けあい語り合う ” という意味だそうです。

実際に言葉を交わす というより、茶事においての一体感を表すもの。今回のお客様を思い浮かべ、迷わずこれに決めました。
炭斗は菜籠。香合は京都高野竹工さんの名工・不窮斎作、「月に萩」。
万年山こと相国寺の古材で作られ、有馬頼底老師の花押があります。
茶懐石と菓子7時半に席入りした朝茶。炭点前が終わる8時半前頃、濃茶の前に一汁二菜の茶懐石を召し上がっていただきます。


相変わらず、蓮心庵の懐石は一品一品が美味しすぎる。「手間ひま」しか、かけていません(笑)。

主菓子は亀屋万年堂さんへ特注。練り切りの「朝顔」。
『 2・3粒の寒天の水滴で演出するなんて、繊細な日本文化が誇らしくさえ感じました。暑いと一刀両断するのではなく、その中でも涼を工夫する、見つけるセンサーを持つ。夏の過ごし方のみならず、人生を幸せに生きる為の工夫にも通じる学びです。』 (M.S.さん)
お菓子を召し上がったら外腰掛けへ。

(M.Eさんのお手紙より)
『蝉の声がすっと静けさを縫うように響いたあの朝、炭点前が始まり空間がふわりと動き出した空気感は今も心に残っております。その後に拝見した蝉の花入の意匠の美しさに深く心を打たれました。また、腰掛けでは思いのほか暑さも和らぎ、雲が日陰をつくってくれたことにささやかなやさしさを感じました。その時そっと姿を見せた小さなヤモリも印象的でした。「家を守る」と書くおり どこか静かに私たちを見守ってくれているようであたたかな気配を感じるひとときとなりました。』
花
蝉籠に花を。毎年育てている朝顔は当日咲いてくれましたが、開きすぎて持ちそうになく…。
実は「今年はこれを」と思い描いていた花があり、前日に茶花店へ行くと奇跡的に出会えました。

「河原撫子」です。干菓子もそれに合わせて注文。庭の「姫矢筈ススキ」と「岡虎の尾」を取り合わせました。
報告が長くなりましたので、続きは後半の記事でお届けします。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室
蓮心会 高森 梨津子