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令和二年 蓮心会 「教授者最高職授与祝い」の初釜報告~①

2020年12月30日 Category: blog

令和二年 蓮心会 初釜- その1

(今年も残すところあと数日となりました。以前このブログへ書きましたが、今年はじめに生徒が開いてくれた「初釜」のレポートを記載します。)

一昨々年の令和元年暮、私が「教授者最高職」をいただけることとなり、京都の表千家不審庵にて執り行われるその授与式に参加させて頂きました。

2019年12月31日のブログに書きましたが、一生に一度の本当に素晴らしい機会でした。『これがゴールではありません。これからが本当の勉強のスタートと思い、今まで同様に益々勉強を重ねて行ってください。』と、お家元直々からのお言葉は今も昨日のことように思いだされます。

教授者としての「最高職」を授与することを生徒たちへ知らせた時、社中の代表から『先生、おめでとうございます!この度のお祝いの気持ちを我々社中で何かの形にしたいと考えています。以前からの企画として、来年(令和2年)秋に蓮心会で大寄せの茶会を開くことは予定していますが、それとは別に、私たちで先生だけへの何か特別な企画をしたいと思っているのです。』と、言われました。どうやら社中たち皆で少し前から相談していたようなのです。

そこで、『あら私、蓮心会社中 みんなだけの力で茶事を開いて、そこへ私が招かれるのが夢なのよ。』『初めから完全じゃなくても良いじゃない?茶事を企画するだけでも勉強になるわよ?』と、 即答したところ、

最初は『わ〜〜、何も想像出来ません、先生、そ、そんな大変なこと、私たちにできるのでしょうか・・?』と、一旦は怖気ついていたものの、流石、私の社中です。

腹をくくって『よし、やってみよう!』ということになり、私へのお祝いの気持ちを、お目出度い“初釜”に託して茶事を開いてくれることになったのです。

日時は相談されたその日から4ヶ月後の、今年 令和二年(2020年)、1月26日日曜日と決まりました。

さあ、それからの蓮心会社中の皆さんの働きが、凄かった。

大寄せの茶会ではなく、正式な「茶事」、それを開催することが どれだけ大掛かりなことか、想像出来ますでしょうか。

しかも今回は、生徒に料理人がいるので、その彼を中心に自分たちの手で作ろう!ということに。

今回社中で開く初めての茶事でのこの「亭主役」を引き受けてくれたのは、蓮心会で一番長く稽古を続けているAさん。

Åさんへの社中皆の信頼は厚く、皆、Aさんを中心に何度も案を出しあい、またAさんも皆を信じ、全ての社中が、それぞれに満遍なく「茶事」を学べるように分担し、困ったことがあれば相談に乗りつつ、基本的には任せているようでした。

全員の意見をまとめて進行することは本当に大変なことだったと思います。

懐石担当のメンバーは、何度も試作を繰り返していました。

「あーでもない、こうでもない」と言い合いながら作業するその姿は、真剣ながらも とても楽しそうで、今回仲間に入れない私は、ちょっと羨ましく思いました。

↓ 懐石準備中の社中のみなさん

そうして準備を重ね、前日にはリハーサルをし、当日客へ入れない人も客役・亭主側の役を体験できるようにも配慮していました。

↓ リハーサルの様子

炭点前のリハーサル

↓ 茶室の準備の様子

社中一人ひとりが各自できる限りの力を結晶し、一人ひとりが自分の役割を一所懸命に取り組んでいました。

私はできる限り横から口を出さないよう見守っていました。

さて当日。

懐石準備の架橋です。

私は皆が台所や茶室で準備にてんやわんやしているのを横目に自分の部屋から着物を着て玄関から外へ出、門の前に集まっている方々と一緒に客として案内を待ちました。

寄り付き自分で白湯をご馳走になり、露地草履に履き替え、露地へ案内されました。

・寄付 「子 福無量」東福寺の前管長 福島慶道老師筆

 これは、丙子 平成9年(1997)。24年前ですね。

 竹手付きの煙草盆の中に青楽木瓜形の火入れがありました。

  そして、玄関には「福寿草」の鉢。

↓ 露地草履を履き、露地へ移ります。目に入る全てに水が打ってあります。

社中全員で、手入れされた露地の苔の素晴らしく美しいこと!

清々しい空気が充満していました。

清められた露地
隅々まで水が打ってあります。
苔の美しいこと!

初めて自分の家の露地を客として歩きます!

蹲踞で清めます。
床の間を拝見。

亭主が蹲踞を清め、無言で向かいつけの挨拶があり、私たち客は蹲踞で手と口を清め、席入りします。客として自分が作った露地を歩き、茶室へ席入りするのは初めてです。

今回は、全ての準備を生徒たちに任せていたので、自分の庭ではなく、本当にどこかの御宅の茶事へ招かれた気持ちに切り替えられました。

茶室の室礼を拝見し、亭主との挨拶。

Aさんとは、長い間に過ごした稽古時間はありましたが、こうして面と向かって対峙することは初めてかもしれません。

Aさんと私の間に過ごした今までの長い年月の記憶が一瞬にして蘇り、この日を迎えられるために彼女がどれだけの苦労を重ねたかを想像し、その喜びに感極まってしまい、しばらく言葉を失ってしまいました。

床の間に掛けられていたのは、『関 南北東西活路通』。瑞光院 前田宗源の一行。

実は今回のおめでたい席に、私から用意した掛物があったのですが、それを提案したところ、Aさんから、『先生のお気持ちはとてもありがたいのですが、どうしても私、そして私たちたちにとっては この掛物の方がふさわしいと思うので、こちらを掛けさせていただきたい』と、選んだものです。

‘この関所を通ったら、南北東西、何処へでも活路は開けるよ’

(長くなりますので、今回はここまで。つづきへ)

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 蓮心会 高森 梨津子