蓮心 表千家茶道教室 池坊いけばな華道教室

西武新宿線沿い西東京市田無駅より徒歩11分の表千家茶道・池坊華道教室

令和7年 蓮心庵「朝茶」報告:後半

2025年8月25日 Category: blog

令和7年 朝茶報告 (後半:続き薄茶〜道具紹介〜手紙抜粋〜まとめ)

ここからは 続き薄茶からお道具、そして皆さまのお声をまとめます。

続き薄茶とお道具

風炉先は兼中斎花押の腰地網代。
風炉釜は宗心花押「松竹文真形釜」(十二代加藤忠三郎作)。
水指は榊原勇一作の平水指。

続き薄茶

今回の目玉のひとつは、煤竹の茶杓「節下皮めくれ」。竹を切った際の傷が長年燻されて味わいを帯びたものです。

銘を社中で考え、武田士功住職に箱書きをお願いする計画です!
どんな銘が生まれるか、楽しみでなりません。

茶入は、伊勢崎 満作 備前肩付。お仕服は青木間道。

茶碗は、14代 楽 吉右衛門 覚入 黒。銘「永寿」。(13代即中斎の箱書)。

濃茶入、茶杓、仕服と薄茶器

薄茶は「続き薄茶」でさらりと。茶器は鎌倉彫、一見重厚に見える茶器ですが 手に取るととても軽く、繊細な菊彫の作品で蓋の裏に堀内宗完宗匠の花押があります。

替え茶碗は清流之絵の平。尋牛斎の書き付けがある共箱で、蓮心庵 夏の定番です。


建水は鉄黒様・引三郎作。
蓋置は榊原勇一さんの「宝尽くし」。今年の清祥会華展にいらして下さった時に直接いただいたお祝いの品で、皆さん大喜びでした。

宗心花押 松竹文真形釜 十二代 加藤忠三郎作
平水指 蓋置 榊原勇一作  風炉先 兼中斎花押 腰地網代

濃茶は久しぶりに柳櫻園「祥雲の昔」、お干菓子の後の薄茶は「栂尾の昔」。

続き薄茶

煙草盆は、溜一閑・鱗鶴透(近左作)、火入れは祥瑞、煙草入れは檀紙。如心斎好みのキセル。

この日のために梅雨前から庭の手入れや試作を繰り返し、皆で準備を重ねました。
当日は不思議なほどスムーズに流れ、4時間以内でゆったりと終えることができました。

親友で映画監督の櫻子が最終準備の金曜日から2泊3日で茶事の様子を撮影してくれました。どのような形になるのかは未定ですが、私たちにとって大切な記録となるでしょう。

庭の手入れ・煙草盆の練習
懐石の仕込み

 

皆さまからのお手紙

今回も皆さんからお礼のお手紙をいただきました。その一部を抜粋してご紹介いたします。

 『夏の催しとして毎年、この山を登り切るような思いで、この季節を迎えております』と、前礼をくれた蓮心会料理長から、『少ない半東での御茶事はとても大変でしたが、Nさんと息を合わせながら、お互いが頼れること、敬うことが出来る仲間であることを、とても実感しました。自分のことばかりに精一杯であった時よりも、感じ取れる場所が少しだけ増えてきたようにも思えます。

今回は櫻子さんと、買い出しや仕込みにてインタビューを受けながら、改めて何故お茶を続けているのかを考えてみました。

 何が起きてもやり遂げる。自分にとってのたくましい意志を育てているのだと思います。様々な目的に対しても、しっかりと向き合っていき、本気で自分の人生と対峙していけるという意味が込められていると思います。また 席入りでのお客様同士でも、同じ気持ちと思い、チームワークで楽しもうという皆様の心意気をとても強く感じました。先輩方が揃って参加できたことも嬉しく、先生がこの度のテーマに「仲間と語らうこと」をあげていただき、一番良い場面だったなぁと、色々なテーマのお茶事があると思いますが、自分としては一番好きなテーマでした。

 この瞬間を永遠に続けたいと思うならば、自分自身がお茶を学び続け、自分でもお茶の機会を作り上げられるようになりたいと思いました。』 (S.K.さん)

  

 『櫻子さんによる撮影も加わり 伝統とは何か 継承とは何かと自らを省みる良い機会ともなりました。(中略) 本席の掛物 山雲海月情は まさに 蓮心会の日頃の結晶のようなお言葉でした。善因善果を体現するかのように石渡先生からの教えが高森先生へと続き そこに高森先生の個性が加わって 素敵な社中が集い 良い気が満ちあふれているように感じます。私もまた お茶の素晴らしさを周囲へお伝えできるようお稽古を積み重ねて参りたいと存じます。』 (M.Y.さん)

   

 『今回の茶事で一番思い出すのは 「お抹茶が格別に美味しかった!」という記憶です。あの時のお濃茶の味は衝撃的でした。たくさんの魅力的な情報の中で この一服のお茶が 確かに茶事のメインだと感じました。こんなお茶が点てられるようになりたい と 原点回帰に至った次第です。「青山元不動 白雲自去来」 どんな環境の中でも私らしくで良いのだ と 背中を押してくださるお言葉 先生が読んでくださり一層心に沁みました。

 「山雲海月情」 蓮心庵に集まり協力して茶事を楽しめる仲間がいること 立ち返る場所があるということ それをつなぎ続けてくださる先生がいらっしゃることに 感謝いたします。』 (S.K.さん)

  

 『改めて思うことは 茶道はチームワークだということです。亭主、客、半東がいて 皆で作り上げるということ。それが楽しいのだと思います。(中略)出会いというのは本当に不思議なものですね。高森先生と蓮心会の皆様と出会えたこと こうしてご一緒できることを嬉しく思います。本当にありがとうございます。まさに 山雲海月情 ですね。初めてお茶事に参加させていただいた時は 分からないことばかりで これからやっていけるのだろうか と思いましたが、今こうして楽しいと思えるようになったことが成長なのかと思います。

 お茶室、玄関、露地、お道具、お懐石、お菓子 あらゆるものに心が込められていることが分かるようになりました。客と半東、両方の立場を経験させていただけるので 少しずつ見えるものが変わってきたことを実感しています。

 生きていると色々なことがあります。会社で嫌なことがあったり、津波や地震などの災害に見舞われたり いつも平常心でいられたら どんなに良いでしょう。でも隠れて見えなくなっているだけで もともと本質は そこにあるのですね。表面の感情にふりまわされやすいですが少し立ち止まってみることは 生きにくために大切なことですね。

 ただお点前を学ぶだけが茶道ではなくて、茶道を通して 自分はどう生きるのかを学んでいるのだと思います。これからも作動と共に生きていきたいと思っております(略)』 (N.K.さん)

   

 『人生は長いようで、本当はあっという間で、日々、先生や社中の皆様にも色々な出来事が起こり、心がゆれる中でも、ひとつの事をたんたんと変わらず続けていくことを、何も変わらないように受け取り、受け入れてくださるのが蓮心会なのですね。そのありがたさを心より感じ、感謝しております。帰る場所があるというのは、支えになります。先生の今回のテーマが今の私の心境にとても刺さりました。きっと今日の朝茶の事は、一生忘れないと思います。

 瀧から始まる室礼や、手間暇をかけた素晴らしいお料理、お互いを思い、さりげなく助けあう社中の皆様、そして、それら全ては先生のお人柄とご指導の賜だと思っております。』 (M.K.さん)

   

 『ちょうど “雲収山岳青” という禅語を思い出しました。先生という太陽があらわれて 悩みや迷いという雲をけちらし、青い山岳という自分達社中のあるべき姿 本来の姿を表してくださる。

はたまた 青い山岳が先生で 自分達が 五里霧中でも くもりでも晴れでも ずっと 変わらずどっしりとそこにいてくださる

先生はずっとそんな存在で見守っていらっしゃるなと 日本昔ばなしのような世界を思い浮かべつつ 感謝の念に堪えません

自分自身が新緑 紅葉 雪山と ぐるぐる季節をめぐっても いつか どっしりとした 青い山になるよう精進いたします。』 (A.H.さん)

   

結びに

お手紙の一つひとつに、私の想いが深く伝わっていたことを感じ、感激しました。
社中や仲間のおかげで私は茶の道を歩み続けられています。
今回残念ながらご一緒できなかった方も、心は確かにこの場にありました。

櫻子、記録を残してくれてありがとう。
そしてご参加くださった皆さま、支えてくださった皆さまに心より感謝を込めて――。

これからも季節ごとの行事や茶事を大切に続けてまいります。
どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

  

  

 西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室

 蓮心会 高森 梨津子

 

令和7年 蓮心庵「朝茶」報告:前半

2025年8月25日 Category: blog

令和7年 朝茶報告 (前半:玄関〜本席〜懐石・菓子〜外腰掛け〜花)

残暑お見舞い申し上げます。

7月最終の週末、蓮心庵にて夏の茶事「朝茶」を無事に開催いたしました。

今年も本当に暑い7月でしたが、8月も半ばを迎えた今思い返すと、あの頃の方がまだマシだったかも…と思うほどの暑さですね。

ご参加くださった皆さま、そして準備に尽力してくれた社中に、心より感謝申し上げます。
ようやく一段落しましたので、取り急ぎご報告いたします。

(この記事は 前半 です。後半は「続き薄茶」から「皆さまのお声」までをまとめていますので、近日中に公開いたします。)

玄関

尋牛斎宗匠の短冊 「青山元不動」。

青山元不動 白雲自去来

(せいざん もとを うごかず はくうん おのずからから きょらいす)

〈五灯会元〉

“ いつでも何をするにしても 万緑万境(周囲の色々な現象)に心をとらわれて右往左往することなく 泰然として我が道を貫き通しなさい ”

今年は、いまの自分に刺さる言葉から始めてみました。

寄付

立花大亀老師筆「瀧」の掛物を。滝の飛沫を浴びていただくような気持ちで。

煙草盆 手付桶  火入れ 青楽木瓜。

 

本席

掛物は、「山雲海月情」(碧厳録)。而妙斎宗匠筆、即中斎箱書き。

語(かたり)尽くす 山雲(さんうん)海月(かいげつ)の情 〈碧眼録〉

“ 山・雲・海・月の情心、即ち一切の心のことで、親しきもの同士が胸中の心情、境地、心境のありったけを、お互いの腹の底まで包み隠すことなく、あらいざらいに打ち解けあい語り合う ” という意味だそうです。

本席の掛物「山雲海月情」

実際に言葉を交わす というより、茶事においての一体感を表すもの。今回のお客様を思い浮かべ、迷わずこれに決めました。

炭斗は菜籠。香合は京都高野竹工さんの名工・不窮斎作、「月に萩」。

万年山こと相国寺の古材で作られ、有馬頼底老師の花押があります。

茶懐石と菓子7時半に席入りした朝茶。炭点前が終わる8時半前頃、濃茶の前に一汁二菜の茶懐石を召し上がっていただきます。

に一汁二菜の茶懐石、献立。
飯、汁、向付、香の物、預け鉢

相変わらず、蓮心庵の懐石は一品一品が美味しすぎる。「手間ひま」しか、かけていません(笑)。

煮物椀、八寸、湯、主菓子

主菓子は亀屋万年堂さんへ特注。練り切りの「朝顔」。

『 2・3粒の寒天の水滴で演出するなんて、繊細な日本文化が誇らしくさえ感じました。暑いと一刀両断するのではなく、その中でも涼を工夫する、見つけるセンサーを持つ。夏の過ごし方のみならず、人生を幸せに生きる為の工夫にも通じる学びです。』 (M.S.さん)

お菓子を召し上がったら外腰掛けへ。

外腰掛け

(M.Eさんのお手紙より)

『蝉の声がすっと静けさを縫うように響いたあの朝、炭点前が始まり空間がふわりと動き出した空気感は今も心に残っております。その後に拝見した蝉の花入の意匠の美しさに深く心を打たれました。また、腰掛けでは思いのほか暑さも和らぎ、雲が日陰をつくってくれたことにささやかなやさしさを感じました。その時そっと姿を見せた小さなヤモリも印象的でした。「家を守る」と書くおり どこか静かに私たちを見守ってくれているようであたたかな気配を感じるひとときとなりました。』 

  

蝉籠に花を。毎年育てている朝顔は当日咲いてくれましたが、開きすぎて持ちそうになく…。
実は「今年はこれを」と思い描いていた花があり、前日に茶花店へ行くと奇跡的に出会えました。

「河原撫子」です。干菓子もそれに合わせて注文。庭の「姫矢筈ススキ」と「岡虎の尾」を取り合わせました。

報告が長くなりましたので、続きは後半の記事でお届けします。

西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室

 蓮心会 高森 梨津子


 

令和7年 9月の稽古日のお知らせ

2025年8月14日 Category: 稽古日のお知らせ

*茶道教室 9月

・水曜日  3日、10日、24日  13時〜16時 / 18時〜22時

・日曜日  8/31、14日、21日  12時〜17時

人数の都合で時間の変更もあります。直接お問い合わせください。

*華道教室 9月

・水曜日  3日、10日、24日 13時〜22時

・土曜日  13日、20日、27日  12時〜17時

* 上記茶道教室の時間に茶室での華道稽古は可能です、ご相談ください。

  

* 茶道・華道とも教室開講時間を明示しています。上記の時間内でご都合の良い時間に学ぶことができます。

*田無教室の『茶道体験』は 一名様 お菓子など水屋料込みで 4.000円、

『華道体験』は 一名様、花代別で3.000円です。 別途花代は2.000円です。

現在「見学のみ」は承っておりませんので、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

 

・吉祥寺「ドスガトス」華道教室 日時は相談可能・要予約

現在、金曜日の11時から13時半、稽古可能です。直接相談してください。

「ドスガトス」は、スペイン料理店です。この店の一角をお借りして華道教室を開催します。初心者から優しく指導しています。このHP「連絡フォーム」よりお申し込みください。 吉祥寺華道教室 1回 3500円+花代(約1500円〜)

ドスガトスH.P.→  https://www.dosgatos.jp

 

日々の稽古や、生徒の作品、またプライベートもInstagramとF.B.にアップしています。

https://www.instagram.com/sado_kado_ritsuko/

よかったらご覧ください。

 

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