令和6年11月京都旧七夕会華展報告
京都・池坊本部で開催する代表的な華展は「春のいけばな展」と「いけばなの根源 池坊展」の二つです。
「春のいけばな展」は、題名通り毎年春(3月)、京都中央研修学院の修了記念・文化祭の華展。各教室の特徴がよく分かり、それぞれの特色が楽しめます。
毎年 11月に池坊会場(京都中央研修学院・家元道場)と 大丸京都店で開催されるのが「いけばなの根源 池坊展」。この華展は華道家元四十五世 池坊専永宗匠、次期家元 専好さま、青年部代表 専宗さまの作品をはじめ、全国の華道家による作品が 約900点 展示される池坊最大のいけばな展です。
この華展は「旧七夕会(きゅう たなばたえ)」と呼ばれ、江戸時代初期に御水尾天皇が宮中で七夕の立花会を催したことに由来する最大・最古のいけばな展です。
平安時代以降、宮中で七夕の日に様々な行事が催され、その一つとして花がたてられていたからです。しかし「七夕」は7月7日。なのに 何故11月?と、不思議に思われるでしょう?
はい。私が聞いた話では…『旧暦なので、新暦では8月初旬頃。京都の暑さは厳しく、花が保たなかった。9月に・10月に延期したけれど、その季節は農繁期。といって12月は皆忙しい。そんな経由で11月に落ち着いた。』確かに。11月は花材も豊富ですしね。とても真実味がある説です。
毎年この「いけばなの根源 池坊展」で、お家元がその年の池坊のテーマを発表し、そのテーマの華展が一年かけて 大阪・東京・札幌・仙台・名古屋・福岡を巡ります。
今年のテーマは『 花 命 みらい』。
池坊いけばなの根底にある 生成発展 する “いのち” の美しさと向き合い、“みらい”への希望を花に託して一瓶に表現する。
関西万博でも「いのち輝く 未来社会」が謳われていますしね。
…すっかり前置きが長くなってしまいました(^^;;
実は この旧七夕会華展に「石渡雅史先生の生花教室の代表」として選抜していただき、出瓶させていただきました! とても名誉なことなので報告致します。
私の作品は、木瓜の一種生け。薄端花器へ。

先生にアドバイスしていただき、凛とした作品となりました。
石渡雅史先生の作品。↓

“生成発展” とは、「古いものが滅び新しいものが生まれる」「勢いよく発展し続けること」。絶えず活動し、変化し成長していく様子を指します。
生花(しょうか)は特に、この『生成発展する “いのち”の美しさと向き合い、“みらい”への希望を花に託して一瓶に表現する』花形なので、今年の『花 命 みらい』のテーマそのものですね!
専永宗匠の作品。↓道場席の宗匠の作品の前に座ると、とても癒されます。

大丸京都店の専永宗匠の作品。↓

道場席の専好さまの作品。↓

道場席の専宗さまの作品。↓

このような素晴らしい華展へ雅史先生の生花教室の代表として出瓶させていただく機会をいただきましたこと、深く感謝いたします。
この三年間、生花教室での石渡雅史先生の講義・教えは、基本を徹底的に教えてくださることも勿論ですが、特に興味深かったのは、先生から毎回いただく「お題」です。
初年度は『皆さんにとって “美しい” とは?』でした。
改めて考えたことも無かった突然の問いかけに皆、驚きながらも色々な意見が出ました。
私は直感で『一所懸命生きている姿』と答えましたが、クラスの皆さんから「夕日」「山嶺」「満月」「新緑の水々しさ」「仏像」「車」「友情」「所作」「計算式」「金の価値」… などのように実際に生きていなくても美しいと感じるものは様々あり、とても面白かったです。
先生のお答えは『美しいとは、正しいもの』でした。私はそれを聞いた瞬間、少し違和感を覚えました。何故なら「”誰が判断した・何に対する” 正しいもの」なのかが、分からなかったからです。
その後 先生から『 “美しい”とは、快い・快感・感動=正しい=“真理” 。』『正しいとは、理に叶う姿。道理(筋)が通っている。』『大自然の秩序』『真理を目指しましょう。』と聞いて少し納得しましたが、私の心の中ではまだこのお題は課題として燻り続けています。
二期目は『人は “何故” 花を生けるのか?(今、世の中はSDGSと謳われているのに。命あるものを搾取してよいのか?)』でした。これはいつも私が考え続けていることでもあるので、教室の皆さんの色々な意見が聞けてとても興味深かったです。
実はこの課題が出された前日、『何故 こんなに花を生けること、勉強することが楽しいのだろう』と 考えていたところでした。そしてその日、友人に紹介され初めて会った方から、最近 最愛のご主人様を亡くしたと聞きました。その瞬間、その方に「花を贈りたい!」という気持ちがどうしようもなく湧き、遅い時間で店も閉まっていたので道端に咲いていた地味だが美しい花を お辞儀をしてから手折り「仏前に供えて欲しい。」と手渡しました。その時私は『何故人は 故人へ花を贈りたいのか?』と自問していました。
太古の昔から死者に花を手向ける習慣があったことが分かっています。
これは理屈ではなく、『美しく咲く花の命も私たち人間の命も同じ』という節理が無意識に働いているのでしょうか。
花の命と私たちの命。同じ命。
… 実はこの華展会期中、大好きな妹が病気で他界しました。
悲しみと向かい合いながらも「いのち」を懸命に生けることでなんとか、乗り越えられた気がします。
私の人生の中に『華道』があって良かった。続けてきて良かったと、心から思いました。
そんなこんなの事情で、ブログの更新が全く出来ずにいました。お許しください。しかし丁度、今!東京華展は2025年5月21日〜26日・日本橋三越で開催中です!なんとタイムリーで素敵な偶然(笑;)
折角なので、専永宗匠や専好さま、専宗さま、雅史先生、そして石渡正子師匠の作品を順次アップします!
専永宗匠の作品。↓

昨年11月の大丸京都店の作品が都市を巡り、季節に寄り添いながら変化してゆく姿も素敵なのです。
専好さまの作品。↓

専宗さまの作品。↓

石渡雅史先生の作品。↓

光と影までが演出されているようでした。
2次・石渡 正子師匠の作品↓

シラビソ・松・柘植・鳴子ゆり・笹百合・山アジサイ・クロトン・スプレー菊
「山静かにして、太古の如し」
喧騒の現代に生きて、私達はふと深山幽谷の静寂を夢みます。
しかしながら、その自然界では、草木は常に風にそよぎ、水は不断に流れ、生き物はあるがままに生きぬいています。
一見静寂に見えるなか、「輝くいのち」を表現したいと願っています。
静かな山の中にいるかのようでありながら、その静けさの中に「輝くいのち」のエネルギーが満ち溢れる作品。今年も全く年齢を感じさせない先生の作品に元気を頂きました。
令和6年はこの後 納会を無事に終え、新しい年を迎えることが出来ました。次は令和7年1月の「東京清祥会華展」の報告をします。お楽しみに。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室
蓮心会 高森 梨津子
令和7年 6月稽古日のお知らせ
*茶道教室 6月
・水曜日 4日、11日、18日 13時〜17時 / 18時〜22時
・日曜日 1日、8日、15日 12時〜17時
人数の都合で時間の変更もあります。直接お問い合わせください。
*華道教室 6月
・水曜日 4日、11日、18日 13時〜22時
・土曜日 5/31日、7日、14日 12時〜17時
* 上記茶道教室の時間に茶室での華道稽古は可能です、ご相談ください。
* 茶道・華道とも教室開講時間を明示しています。上記の時間内でご都合の良い時間に学ぶことができます。
*田無教室の『茶道体験』は 一名様 お菓子など水屋料込みで4.000円、
『華道体験』は 一名様、花代別で3.000円と致します。 花代は2.000円です。
現在「見学のみ」は承っておりませんので、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
* 只今、問い合わせフォームが接続できない状態で修理中です。申し訳ありませんが「アクセス」に書いてある携帯電話 08012404848 か、renshin1223@gmail.com へお問い合わせください。よろしくお願い致します。
・吉祥寺「ドスガトス」華道教室 日時は相談可能・要予約
現在、金曜日の11時から13時半、稽古可能です。直接相談してください。
「ドスガトス」は、スペイン料理店です。この店の一角をお借りして華道教室を開催します。初心者から優しく指導しています。このHP「連絡フォーム」よりお申し込みください。 吉祥寺華道教室 1回 3500円+花代(約1500円〜)
ドスガトスH.P.→ https://www.dosgatos.jp
日々の稽古や、生徒の作品、またプライベートもInstagramとF.B.にアップしています。
https://www.instagram.com/sado_kado_ritsuko/
よかったらご覧ください。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室 蓮心会 高森 梨津子