令和6年5月 蓮心会京都ツアー、6月清祥会研究会の報告
年に 6〜7回は滞在している京都。沢山のご縁があるので、いつか蓮心会の社中と一緒に 京都旅行をしたいと思っていました。いつも京都で滞在先にしている友人が素敵なギャラリーに引っ越しをしたことを機に、初めて「蓮心会京都ツアー」を企画しました。
5月下旬、大阪で開かれた池坊全国大会へ社中一人と傍聴した後、一緒に京都へ移動し、翌日、社中4名と蓮心会京都支部長のAtsukoさん、そして京都の茶家へ嫁いだ Shioriさんと合流、私を入れて7名で決行しました。
先ず、表千家北山会館で「茶の湯への誘い展 茶の湯 小間と広間 – 風炉」を観覧しました。「風炉」の時期に取り合わされる小間と広間の道具の一例、不審庵と残月亭の起こし絵図、茶事で使われる喚鐘(かんしょう)や銅鑼(どら)、茶室を構成する要素のひとつである「畳」の制作道具や素材なども展示されていました。また千家十職の奥村吉兵衛の表具の技法や障子紙、襖紙の紹介されていました。さらに、不審庵模型への入席体験、そして今回新たに設置された組立式小間への席入りも楽しみました。
そのあと、大徳寺へ移動し「泉仙」大山院店にて精進料理の昼食を頂きます。
紫野・大本山 臨済宗大徳寺は、利休はじめ茶人が参禅し、茶の湯文化と とても縁が深いお寺です。丁度この時期に「本坊特別公開ツアー」が開催されているとの情報をShioriさんから頂いたので、初回はここ大徳寺をツアーの軸にしました。
大徳寺は鎌倉末期、宗峰妙超(大燈国師)が紫草の繁る洛北の野原に “大徳” という小庵を開創され、その後 花園・後醍醐天皇の帰依をうけ勅願所となり、嘉暦元年(1326)の法堂完成と同時に龍宝山大徳寺と命名されました。現在は22寺の塔頭と2寺の別院があります。
「本坊特別公開ツアー」の内容はボランティアのガイドさんと一緒に「伽藍特別公開」〜「三門・金毛閣(外観)」〜「仏殿」〜「法堂」で狩野探幽筆「雲竜図」〜「唐門」を巡るという内容です。
先ずは、大徳寺最古の建造物の一つで重要文化財の「金毛閣(三門・山門)」を訪ねました。ここは応仁の乱で焼失後、大徳寺中興の祖 一休禅師 の参徒で連歌師 宗長の寄進により一階を創建され、その60年後、利休によって現在の二階二層門となりました。楼上は(通常上がることは出来ない)広い一室で、釈迦如来像や利休寄進による羅漢像が安置されています。天井龍は長谷川等伯筆。この楼上に利休木造を置いたことから秀吉の逆鱗に触れ、利休切腹の因と云われています。当時の利休木造は、利休と一緒に六条河原に晒し首となり川に流されて消息不明となり、現在の像は裏千家にある立像画を元に造られたそうです。私は表千家の短期講習会へ参加した35年前にこの楼上を拝観させていただきました。説明を聞きながら昨日のことのようにその感動が甦りました。
国宝「方丈」の前の特別名勝庭園(前庭は天祐和尚・東庭は小堀遠州作)は修繕中でしたが、庭石が積み上げられている姿も珍しく貴重に拝見しました。この石は三波石といい、群馬県藤岡市周辺で産出される青緑色の結晶片岩だそうです。美しい白い縞が入っているものもあり、反射でキラっと光ります。
三門・仏殿・法堂などの伽藍が中国風なのに対し、方丈は一山住職の修行生活の場となっているようですが、大徳寺の方丈は特別に大燈国師の塔所雲門庵を中心としています。京都の豪商後藤益勝の寄進により再建され、襖絵八十四面は狩野探幽斎筆で、重要文化財です。また方丈前庭は天佑和尚、東庭は小堀遠州の作庭で特別名勝庭園になっています。
方丈を抜け、同じく重要文化財「法堂(はっとう)」へ向かいました。開山大燈国師三百年遠諱の際、江月和尚の勧化により小田原城主 稲葉正勝・正則父子の寄進によって再建され、当時の唐様の遺構として貴重な建物です。これも重要文化財、天井の「龍」は狩野探幽の若い時の筆になっています。真下で手を叩くと龍🐉の鳴き声がビリビリッと身体に響き降りてきて、沁み入りました🐲✨
ツアー最後は方丈前庭にある国宝「唐門」を尋ねました。村上周防守が聚楽第の遺構を譲り受け、明治になって明智門があった今の場所に移築されました。この唐門は彫刻や金具の豪華さ、豊富さに特徴があり、 日照東照宮の日暮門の模型となっています。あまりにも見事な門なので観ているうちに日が暮れてしまうから日暮門と名がついたとそうです。確かに、ずっと見上げていても見飽きることがありませんでした!
そして今回のメイン イベント! Shioriさんの縁で「瑞峰院」へ向かいました。
瑞峯院は室町時代の九州豊前豊後の領主、キリシタン大名大友宗麟公が、大燈国師に帰依し創建された寺です。「独坐庭」と言う枯山水、茶席の前に「閑眠庭」の庭があります。 茶室「餘慶庵」 は表千家八代目啐啄斎宗匠好みの席の写しになっています。六畳台目、次の間、八畳の下座床、廊下をへだてて四畳半向う切りの席があります。
今回は唯一現存する二畳待庵を、有志が集まり復元して建立された「平成待庵」を拝観します。 普段は席入りは出来ませんが特別に予約して、御住職のお話を聞きながらShioriさんが届けてくれた「聚楽」の主菓子とお抹茶を戴いた後、「平成待庵」を心おきなく見学することができました。
これだけ贅沢に見学してもまだ少しだけ時間があり、私が一番好きな塔頭「黄梅院」 も拝観することができました。
社中は「苔」に夢中!
わたしはこの「黄梅院」 の波型スライド杉木の窓が大好きです↓
帰り際に大徳寺の横、「松月」(味噌菓子“松風”で有名)で美味しい“福耳(松風の端)”も頂けて、無事、第一回蓮心会京都ツアーは大満足な一日となりました。
京都在住の方々の協力無しではここまで出来なかったと思います。深く感謝します!本当にありがとう。大事な宝物のような思い出となりました。
いつかまた、企画し開催したいと思っています。
この後 6月には、清祥会研究会が開催されました。今回のテーマは「立花・正風体」。池坊研修学院の秋野仁(しのぶ)特命教授から素晴らしい「道」の講義をしていただきました。大感動したので、ここへ記しておきます。
👇秋野先生の名言集👇
☆ やる気と根気に「なにくそ」という肥料を!
☆「型」があるものは意識しなくてもその型が出来るようになるまで稽古をし続けると「勘」が育まれる。余裕が生まれると「魂」が入れられる。
☆『人にほめられるような 大きな美しいはなではなく だれからも足をとめて 見られなくてもいい 本当の自分自身の花を 咲かせたらいいのだ それを神さま仏さまに 見てもらえばいいのだ』 (坂村真民さんの詩「小さな はな でいいのだ」)
☆「規矩性」と「自由性」の狭間に芸が生まれる。
☆ (何事も) 数多く失敗して 自分の”五感”を使い、感じて覚える‼️
日本の芸道、能・日本舞踊・茶道・歌舞伎・歌道など全てに通ずる「守 破 離」の世界、 心の修行、人間性を磨き、自分自身の人間形成を成形していく「道」。
死ぬまで修行できる「道」を持ているということは、とても幸せなことだと思うのです。人生がとても豊かに感じます。これは、お金では買えません。
“華道の勉強” というと、 “どう活けるか” などの技術論になりがちですが、一番大切なことは「技と心」・「道」の教えなのです。秋野先生、 深い講義をありがとうございました!
続いて京都池坊中央学園、生花教室の報告に続こうと思いましたが… 長くなるのでここで一旦報告を終えますね。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室 蓮心会 高森 梨津子
令和6年 9月の稽古日のお知らせ
*茶道教室 9月
・水曜日 4日、11日、18日 12時〜16時 / 18時〜22時
・日曜日 8日、22日、29日 12時〜17時
人数の都合で時間の変更もあります。直接お問い合わせください。
*華道教室 9月
・水曜日 4日、11日、18日 12時〜22時
・土曜日 7日、21日、28日 12時〜17時
* 上記茶道教室の時間に茶室での華道稽古は可能です、ご相談ください。
* 茶道・華道とも教室開講時間を明示しています。上記の時間内でご都合の良い時間に学ぶことができます。
*田無教室の『茶道体験』は 一名様 お菓子など水屋料込みで4.000円、
『華道体験』は 一名様、花代別で3.000円と致します。 花代は2.000円です。
現在「見学のみ」は承っておりませんので、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
・吉祥寺「ドスガトス」華道教室 日時は相談可能・要予約
現在、金曜日の11時から13時半、稽古可能です。直接相談してください。
「ドスガトス」は、スペイン料理店です。この店の一角をお借りして華道教室を開催します。初心者から優しく指導しています。このHP「連絡フォーム」よりお申し込みください。 吉祥寺華道教室 1回 3500円+花代(約1500円〜)
ドスガトスH.P.→ https://www.dosgatos.jp
日々の稽古や、生徒の作品、またプライベートもInstagramとF.B.にアップしています。
https://www.instagram.com/sado_kado_ritsuko/
よかったらご覧ください。
西武新宿線沿い 西東京市 田無駅より徒歩11分の表千家茶道教室・池坊華道いけばな教室 蓮心会 高森 梨津子